個人情報の盗難が増加するなか、昨年ネットで買い物をしたユーザーの4人に1人が購入回数を減らしたことが、米国時間14日に発表された調査結果から明らかになった。
この調査はRSA Securityが消費者を対象に実施したもの。同社はオンラインショッピングに対する意欲の減退について、リスクの可能性に対する米国人の認識が高まったことが原因だと示唆している。同調査によると、個人情報の盗難について以前より多くのことを知るようになったと感じている回答者は約61%にのぼり、また自分が1年前より無防備に感じると答えた回答者は23%だったという。
RSA SecurityのJohn Worrall(ワールドワイドマーケティング担当バイスプレジデント)は声明のなかで、「企業がネット上で消費者に対する信頼感を高めたいと考えているなら、今後もっと努力が必要なことは明らかだ。脅威に対する認識は依然として高く、一方そうした脅威への対応についての消費者の信頼度は低い」と述べている。
今年で3回目となるこの調査では、米国の消費者1000人以上を対象に、個人情報盗難やコンピュータへの攻撃といった各種セキュリティ問題に対する姿勢が2年前からどのように変化しているかを調べた。この調査結果は、サンフランシスコで今週開催されるRSAセキュリティカンファレンスに併せて発表された。
各金融機関は、運用コスト削減の手段として、もっと多くの顧客にオンラインバンキングを利用してもらいたいと考えているが、彼らは引き続き顧客の抵抗に遭っている。同調査によると、消費者の21%がオンラインバンキングを利用したがらないという。
特に銀行をねらったフィッシング詐欺が急増しているが、これは被害者をだまし、社会保障番号や銀行口座の詳細といった機密性の高い情報を入手すれば金を稼げることに攻撃者が気付いたためだ。
この調査では、回答者の半分以上が従来のユーザーIDやパスワードでは適切なセキュリティを実現できないと感じていることも分かった。にもかかわらず、回答者からは、パスワードの使い方を変えていない、との意見も聞かれる。ウェブユーザーの3人に2人は、電子情報へのアクセスに使うパスワードの種類は5種類未満としており、また全体の15%がパスワードを1つしか使っていないという。この結果は昨年から変化がない、とRSAは述べている。
また、消費者の70%近くが、自分が利用するオンライン業者の個人情報保護対策を不十分だと感じている。
同日、Business Software AlliancとInformation Systems Security Associationが共同で発表した別の報告書によれば、企業各社ではセキュリティ管理に関してますます多くの責任を経営陣に負わせるようになっているという。
昨年実施されたこの調査で、自社の経営陣がセキュリティに関する責任を負っていると答えた企業は42%で、前年度の39%から増加している。
しかし、今後12カ月の間に大規模なサイバー攻撃が起こると考えているセキュリティ専門家の数は減少しており、前年度の65%から昨年は59%になったという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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