トレンドマイクロは1月6日、同1日に代表取締役社長兼CEOに就任したエバ・チェン氏の就任記者発表会を開催した。チェン氏は2002年3月より同社取締役グループCTOを務め、昨年11月の取締役会にて社長就任が決定していた。
前 代表取締役社長兼CEOで、チェン氏のCEO就任と同時に代表取締役会長に就任したスティーブ・チャン氏は、今回の組織再編について、「今後も成長を続けるための5カ年戦略を策定した。それを実行するための再編だ。私の役割も変更になり、これからは企業文化を貫くこと、そして会社自体が学習していく組織となるよう育て上げることに注力する」と述べた。
CEO就任の感想をチェン氏は、「チャン氏のような特徴のあるCEOの後を継ぎ、トレンドマイクロをより成長させるという任務に緊張している」としながらも、「成功させる自信はある」と強気だ。それは「チャン氏がすでに成長のための基盤をしっかり作ってくれたから」とチェン氏はいう。「今後の成長に必要な目標もすでにあり、あとは策定された戦略を実行するのみ」(チェン氏)
トレンドマイクロ 新CEOのエバ・チェン氏を中心に、同 会長 スティーブ・チャン氏(左)と、同 執行役員 日本代表 大三川彰彦氏 |
チェン氏は、トレンドマイクロのミッションが「予想不可能な事態に対して、デジタル業務の継続を約束することにある」と述べる。このミッションを実現するための戦略として同氏は、「予測不可能な脅威に対し、顧客のセグメント別に最適化された脅威管理を提供する。また、パターンファイルだけでなく、情報やソリューション提案など、タイムリーなアップデートを行う。そして、社会全体が巨大なネットワークとなる中、ウイルス対策は単体でなくネットワーク全体を見据えて包括的に行わなければならず、そのためのサービス統合を行う」とした。
チェン氏は、この戦略が実行可能である理由がトレンドマイクロのコアコンピタンスにあるとしている。同社のコアコンピタンスとは、「ユニークな企業文化だ」とチェン氏。「わが社は、単に製品を提供するだけでなく、緊急事態に対応できるような消防署のようなもので、いつ何が起こっても顧客を保護しなくてはならないというメンタリティを持っている。顧客の業務復帰を迅速に行えるサービスを提供することがわれわれの使命だ」と同氏は述べ、前任のチャン氏がこの企業文化をより強固なものとする役目を担うと説明した。
同社は、戦略の一環として顧客のセグメント分けを行うとしている。独立したIT部門を持つVLE(Very Large Enterprise)からはじまり、専任のセキュリティスタッフを持つ大規模企業、セキュリティスタッフは兼任となる中堅企業、ITを十分に活用できていない小規模企業、そしてコンシューマーといったセグメントに分け、それぞれにフォーカスしたサービスを提供していくという。
「顧客のセグメントによってニーズは違ってくる。今回の組織編成は、セグメントごとの顧客ニーズを理解するためのものだ。その違いを理解して、それぞれの顧客に合ったサービスやサポートを提供するよう努めたい」(チェン氏)
最後に挨拶に立ったトレンドマイクロ 執行役員 日本代表の大三川彰彦氏は、同社の歴史を振り返り、立ち上げ時期から株式上場の2000年までを第1章、その後のバブル崩壊からユニークな社風で発展を遂げた時期を第2章とし、これからの5年間は同社にとって第3章のはじまりだとした。「今後も根底にあるのはわが社のコアコンピタンス。これを常に見直して成長を続けたい」と同氏は述べた。
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