Sasserワーム作成の容疑で逮捕された10代の少年が、働き口を提供したいとのオファーを受け取った。声をかけてきたのは何とセキュリティ対策会社だ。
Sven Jaschanは現在ウイルス作成容疑で裁判を待つ身だが、Netskyウイルスへの関与も疑われているこの18才のドイツ人が、Securepointというドイツのファイヤウォールベンダに就職する可能性が出てきた。
Securepointは、Jaschanにセキュリティ関連のプログラマになるための教育を施すことを明らかにしている。同社は、Jaschanがこの分野に関して豊富な知識を持っており、自分の能力を証明するチャンスを与えられるべきだとして、改心後の少年を雇用したいと考えている。
しかし、Jaschanにソフトウェアのトレーニングを施すのは数カ月から数年後になるかもしれない。同少年には現在、データ操作とコンピュータ妨害活動の容疑がかけられており、最大5年の懲役判決が下る可能性がある。
今年上半期に発生したウイルス感染の70%はJaschanによる仕業と考えられており、損害額は最大で数百万ドルに達すると予想されている。セキュリティ専門家の中には、Jaschanの新しい就職口に不安を隠せない者もいるが、更生してIT業界に貢献して欲しいとの声もある。ウイルス対策会社Sophosのシニア技術コンサルタント、Graham Cluleyは、Securepointには「興味深い難問が待ち受けている。わずか数カ月前まで無防備なコンピュータシステムに攻撃を仕掛けていた犯罪者に『報酬』を与える前例を作るのではないことを説明し、メディアと自社の顧客を安心させなくてはならない」と語った。
Cluleyは、Jaschanにはセキュリティ専門家ではなく、ゲーム作家あるいはウェブデザイナーとしてITに従事して欲しい、とも語った。
あるソフトウェア作者は、ウイルス作者が自分の会社に参加することになれば「会社が心配だ」と語った。ゲーム関連の仕事なら元ウイルス作者の更生に役立つが、「ウイルス対策関連の作業でなくては(その知識は)役立たない」(同氏)という。
Jaschanはウイルス作者の世界を捨てる決心をしたかもしれないが、この世界がJaschanを忘れていないのは明らかだ。
MyDoomの最新版にはJaschanの写真が埋め込まれている。F-Secureのウイルス対策調査ディレクター、Mikko Hypponenは、ウイルス開発者のつくるコミュニティがJaschanをまねようとしている可能性があると語った。
「この写真は、MyDoomがウイルス戦争の勝者であると主張しているように思えるが、実際には、Netskyの方がMyDoomよりはるかに広範囲に感染した」(Hypponen)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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