ウイルス対策ソフトウェアメーカーのSymantecが、スパム対策技術に特化したベンチャー企業、TurnTideを2800万ドルの現金で買収した。これにより、電子メールのフィルタリング技術を開発するメーカー間で、一段と整理統合が進むことになった。
米国時間12日にTurnTideのウェブサイトで告知されたこの買収のニュースは、公には発表になっていない。Symantecはこの買収を認め、7月8日に買収を完了したと述べた。
TurnTideは、ePrivacy Groupというプライバシー保護を専門とするコンサルティング企業から、6カ月前に独立したばかりで、企業ネットワークのエッジに設置して、不要な電子メールやウイルスをフィルタリングする、ルータベースの技術を提供している。
Symantecは2カ月前に、IPO申請中だったBrightmailを3億7000万ドルで買収したばかりだ。Brightmailはスパム用フィルタリングソフトの最大手で、米証券取引所委員会(SEC)への提出書類によると、2003年には売上高2600万ドル、収益110万ドルを計上したという。なお、同社の2002年の業績は売上高が1210万ドルで、520万ドルの赤字だった。
かつては「Norton AntiVirus」ツールのメーカーとしてしか知られていなかったSymantecだが、最近では製品の品揃えを拡大し、セキュリティ用ソフトとスパム対策ソフト、サービス、ハードウェアも扱うようになっている。同社は、Ironport SystemsやMicrosoft、Sophos、Frontbridgeなどの各社と競合関係にある。
SymantecによるTurnTideの買収で、不要なメッセージをルータレベルでブロックする技術の重要さが強調されることになった。初期のスパム対策製品では、単語や文章をキーワードにして不要な電子メールを検出し、これらを含む電子メールをブロックするようフィルタリング機能を設定するというアプローチが採られていた。このアプローチはいまでも採用されているが、他の技術を用いた製品も出回り始めている。ベンダーの中には、メールサーバを保護することにより、受信ボックスに到達する前に不要なメッセージをブロックする技術を提供しているところもある。また、インターネットとメールサーバの間にゲートウェイサーバを立て、ここでスパムやウイルスのフィルタリングを行うものもある。これらの製品を使えば、スパムのフィルタリング処理にかかるネットワークへの負荷が軽減される。
TurnTideは、ハードウェアとソフトウェアをパッケージ化した「Anti-Spam Router」で、さらに進んだ機能を提供する。このスパム対策製品は、ネットワークのエッジ部分、つまり企業ネットワークとインターネットとの接点に置かれ、メッセージ内部の実際の情報パケットを見てスパマーからと思われるメッセージを特定する。Anti-Spam RouterはTCP/IPに内在する機能を用いることで、スパマーなどから送られてくるトラフィックの量を制限することができる。
Symantecでは、移行期間のあいだは、TurnTideの既存顧客を引き続きサポートするとしている.
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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