グーグルは5月27日、ディスプレイ広告に関する戦略とサービスについて発表した。テキスト広告を中心としたこれまでのビジネスに加えて、動画や画像を含むディスプレイ広告にも注力する考えだ。
Googleの製品管理担当副社長であるNeal Mohan氏によると、たとえば広告主がサイト上で広告キャンペーンを展開する場合、企画や管理などに多くの時間を費やす必要があるという。また、広告主は細分化されたいくつものサイトに合わせて広告のバリエーションを用意する必要があり、サイト内でのキャンペーン展開や収益化が難しいといった課題があるとしている。
Mohan氏は、ディスプレイ広告事業へのアプローチとして、(1)売買システムの簡素化、(2)広告効果の測定、(3)エコシステムの開放――の3点を挙げている。
Googleが2月に発表した広告管理ソフトウェア「DoubleClick for Publishers(DFP)」では、何百ものマニュアルステップを自動化し、ディスプレイ広告によるキャンペーンの作成や実施、測定を簡素化できるという。すでに数千のオンラインメディアが数十億もの広告を配信しているといい、「プロセスの簡素化に向けてDoubleClick買収後は、膨大な投資を続けている」とMohan氏は述べている。
Googleはディスプレイ広告の商品としてDFPのほかに、「Google Content Network」、「YouTube」、「DoubleClick Ad Exchange」を用意する。Google Content Networkでは、数百万のウェブサイトと世界中のネットユーザー80%に対してリーチできるという。また、ネットユーザー5億人に対して月間数千億の広告インプレッションを提供できるのも特長だ。
YouTubeでは、毎分24時間以上の動画がアップロードされ、1日20億以上の動画が視聴されているという。また、毎週世界中で数十億のビデオ視聴を収益化しており、パートナー企業は映画や音楽、テレビ、スポーツといった各分野の企業1万社にのぼるとしている。
広告主は、Google Content NetworkとYouTubeを使って効果的なパフォーマンスを提供できるほか、広告効果も測定できるとしている。効果的に広告を配信する方法の1つ「リマーケティング」機能では、Google Content Network内で過去にサイトを訪れたことのあるユーザーに対して、ユーザーがほかのウェブサイトを訪問したとしても関連した広告を配信することが可能になる。
また、GoogleのGlobal Media and Platforms担当副社長であるHenrique de Castro氏によると、ホンダや三菱自動車、ソニーといった日本企業がすでにYouTubeで広告を展開しているといい、「心に訴える演出によりユーザーにインパクトを与えている」と述べている。
テキストや画像、ロゴなど40種類以上のテンプレートを用意する「Display Ad Builder」では、広告主は数分でディスプレイ広告を作成できるという。作成したディスプレイ広告では、ユーザーが1秒以上カーソルを合わせた割合を示すマウスオーバー率と、表示された広告に対してユーザーが操作した割合を示すインタラクション率などをもとに、広告効果を測定できる。
Googleによると、Display Ad Builderを利用した広告主の80%が、これまでディスプレイ広告を使ってキャンペーンを実施したことがないと回答しているという。
新規参入者に対しては、エコシステムを開放してより多くの広告主やパブリッシャーが参加できるようにする。中でもDoubleClick Ad Exchangeはディスプレイ広告のスペースをオークション形式で売買するオンライン市場で、広告スペースの平均価格よりも3割以上高く販売できるようになるという。Mohan氏によると、DoubleClick Ad Exchangeでは世界の証券よりも多い数の取引が行われているという。日本では2010年度中に提供する予定だ。
グーグルの専務執行役員営業本部長である有馬誠氏は、「15年前からバナー広告に従事していたが、グーグルのディスプレイ広告を使ったグローバルへの取り組みには驚いた」とし、「米国と英国を中心としたビジネスの進化と、市場の変化に合わせて広範囲に準備、開発をしていることから、日本もこれから大きく伸びるチャンスがあり興奮している」と述べている。
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