ワシントンD.C.発--米連邦捜査局(FBI)はインターネットサービスプロバイダー(ISP)に対し、顧客がどのウェブサイトを訪問したかを記録し、そのログを2年間保存するよう求めている。こうした要請が、児童ポルノなどの重大な犯罪の捜査に役立つ可能性がある、とFBIは考えている。
FBI長官のRobert Mueller氏は、インターネットユーザーの「発信元と訪問先の情報」を保存することを支持している、とFBIの代理人が米国時間2月4日に開かれた連邦の作業部会で述べた。
Mueller氏は、2006年のスピーチでもISPによるデータ保存を求め、2008年にはこの点を強く主張して、連邦議会にそれを義務化する法律を制定するよう要請していた。しかし、FBIが企業に対し、ウェブサイト訪問履歴の記録を開始するよう求めているのが明らかになったのは、これが初めてだ。現在のところ、そのような記録は、現在保存している企業があるとしても、ごく少数にとどまっている。
改めてデータ保存を求める圧力を強めているのはFBIだけではない。2月3日に米CNETが報じたように、コンピュータ犯罪を担当する各州警察の捜査官らを対象とした調査では、ほぼ全員がこの考えを支持していることが明らかになった。米国土安全保障省移民税関執行局のMatt Dunn氏も4日の会合で、この考えを支持すると表明した。
FBIのデジタル証拠部門を率いるGreg Motta氏によると、FBIは既存の犯罪捜査能力の維持に努めているという。1986年に制定された連邦規則では、長距離通話サービスを提供している電話会社に対し、「発信者の氏名、所在地、電話番号、着信先の電話番号、発信の日付と時刻、通話時間」などの記録を「18カ月間保存する」よう求めている。
2月4日の「オンラインの安全性と技術に関する作業部会」は、連邦議会が創設し米商務省が編成したものだ。Motta氏はこの会合で、FBIは電子メールの本文のようなコンテンツデータを保存するよう求めているわけではないことを強調した。
Motta氏は「少なくともFBIが問題としているのは、コンテンツ以外の処理データを保存しておくことだ。つまり、伝送記録、コンテンツ以外の記録で、(中略)通信のアドレッシング、ルーティング、シグナリングなどがある」と述べた。Mueller長官も容認している、とMotta氏は付け加え、「業界の負担とのバランスもあるだろう。(中略)彼(Mueller長官)は、コンテンツ以外のデータとして発信元と訪問先の情報を推奨している」と述べた。
Motta氏は、国際警察長協会(International Association of Chiefs of Police:IACP)の2006年決議を引き合いに出した。この決議は、「法執行機関のコミュニティーが利用できるよう、顧客の契約者情報、および発信元と訪問先の情報を、妥当と認められる最低限の指定期間にわたって保存すること」を求めていた。
しかしながら、ウェブサイトの訪問を記録することは、実施の面からも、またプライバシーの観点からも、反論を招きそうだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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