著作権問題をめぐって「Google Books」と対立してきたフランスが、独自の書籍スキャンサービスを立ち上げる計画を明らかにした。
フランスのFrederic Mitterrand文化相は現地時間1月12日、自国の書籍や他の文書のスキャン版を国民に提供するため、同国に拠点を置く新しいオンラインポータルを計画していると語った。
このサービスは当初、フランスの国立図書館が運営し、現在100万弱の文書のデータを保有している既存のデータベース「Gallica」を活用することになる。だが、Mitterrand文化相は、フランスの出版社と契約して各出版社が所有する書籍及びコンテンツのデータを収録し、オンラインコレクションを構築したいとの意向だ。
フランス政府の委託により作成された、Googleがフランスの出版業に与える影響に関する報告書(Google翻訳による英語版)をきっかけとして計画されたこのサービスは、当初はフランス政府から資金援助を受ける予定だが、ゆくゆくはオンライン広告によって収入を得て、運営資金を捻出したいと考えている。また、Google Booksのライバルにも見える同サービスだが、Mitterrand文化相はGoogleと協力してフランス独自のコレクションを構築する可能性を示唆した。これはおそらく両サービス間での書籍データの交換といった方法によるものだろう。
だが、フランスとGoogleは難しい関係にある。Googleが過去にフランスの特定の出版社と契約を結んで文化相を大きく失望させた件は、顕著な例だ。12日に行われたフランスの日刊紙Le Mondeとのインタビュー(Google翻訳による英語版)で、Mitterrand文化相は新しいオンラインサービスの計画について語り、その中でGoogleを非難する言葉も口にした。
「Googleは征服者として欧州に進出し、多く(の出版社)が、わたしには容認できないように思われる契約を結んで、門戸を開いた」と同大臣はLe Monde紙に述べ、「これらの契約条項は行き過ぎた秘密主義と信じがたいまでの排他性、さらには不用意で一方的でさえある著作権へのアプローチに基づいている」と批判した。
だがその一方で、Mitterrand文化相は書籍データの交換を提案し、Googleを排除することは本意ではないと認めた上で、Googleと新しい関係を構築したいとの意向を示した。ただし、Googleのフランス文化に対する貢献の意志については疑問視した。
著作権問題で、Googleはフランスと反目している。フランスの出版社は最近、この問題でGoogleに勝訴した。だが、Googleと争う姿勢を見せているのはフランスだけではない。他国でも複数の団体が、Googleが出版社や著者に相応の補償をせずに書籍の抜粋をスキャンしているとの不満を受け、同社に対して訴訟を起こしている。
フランス版の書籍スキャンサービスでは、Googleが直面しているのと同様の摩擦は避けたいとの考えから、オンライン化を認める部分の決定を出版社に委ねる予定だ。
フランス政府が委託した報告書と新サービスは、Googleが書籍スキャン計画をめぐってフランスの国立図書館と協議しているとの懸念が呼び水となって計画されたものだ。フランス国内でのGoogleの評判と、同社がリヨン市立図書館とすでに結んでいる契約が物議をかもしたこともあり、フランス政府は国立図書館に関する報道をきっかけに警戒を強めた。
Mitterrand文化相は、3月に米国でGoogleと書籍データ交換の可能性について話し合うことになっており、出版社と著者の権利を尊重する必要性を強調する予定だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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