オープンソースの代表的メールクライアントソフトの最新版となる「Mozilla Thunderbird 3」が11中旬にリリースされることが10月29日に発表された。Mozilla Japanの代表理事の瀧田佐登子氏は「長い眠りでしたが、2年半ぶりのメジャーバージョンアップとなります」と興奮気味にThunderbirdのバージョンアップを喜んでいる。
2年半という長い期間を経たせいか、今回のThunderbird 3には新機能が多数追加されるとともに、さまざまな機能改良が加えられている。その代表的なものが、全文検索の高速化だ。
現在の「Thunderbird 2」の全文検索は、保存されているメッセージをその都度検索しているために、たとえば数万件というメッセージになると何分もかかってしまうという課題を抱えていた。また、Thunderbird 2の場合、複数のアカウントを横断検索する方法もなかった。
これに対して、Thunderbird 3では、「Gloda」と呼ばれるメール検索エンジンを搭載、すべてのアカウントとフォルダを対象とした全文検索ができるようになっている。Mozillaグループで開発しているブラウザ「Firefox 3.5」のブックマークにも使われている軽量な「SQLite」データベースエンジンにメッセージの索引を記録しておくことで、高速化を実現しているという。
Mozilla Japanマーケティング部の吉野公平氏によれば、実環境でメッセージ約7万7000件を対象にした全文検索で、Thunderbird 2が5分17秒かかっていたのに対して、Thunderbird 3では10秒で終わっているという。吉野氏は「30倍以上の高速化になっている」と、その性能が大きく向上していることを強調する。
検索関連では、「グローバル検索バー」を新たに導入している。Thunderbird 2の検索では、開かれているフォルダが検索対象となり、「検索バー」の中で、たとえば“件名や送信者”といった指定をした上で検索する必要があった。Thunderbird 3は検索バーをグローバル検索バーに置き換えて、すべてのメッセージを対象にキーワードで、件名、送受信者、タグ、本文のすべてを一括した全文検索ができるようになっている。
その検索結果も絞り込むことができるようになる。送受信者、添付ファイルの有無、タグ、フォルダなどの条件と、視覚的なタイムラインで、目的のメッセージを発見できる仕組みが取られているとしている。
メッセージの表示では、ブラウザで標準的になっているタブ表示機能を搭載している。これにより、複数のメッセージを同時に参照することができる。開いているタブは次回の起動時に自動復元もされる。検索結果も新しいタブで表示されることになる。
メッセージの表示に関連した改良としては、「メッセージ要約ビュー」が搭載された。これは、複数のメッセージを選択する時に、ウェブでの検索結果と同じように、メッセージの要約が表示されるというものだ。
またThunderbird 3では、メールアカウントの設定が従来よりも簡単になっている。名前とメールアドレス、パスワードを入力するだけでアカウントの設定は終了する。従来であれば、POPサーバなどの情報も必要だったが、サーバに関する設定は、MozillaのISPデータベースを参照することで自動的に入力されるようになっている。
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