Googleが、ハードウェアを利用して3Dグラフィックスを高速化するソフトウェア「O3D」の「Google Chrome」への組み込みに着手した。これはほかのブラウザにはない機能だ。
プログラマーのGreg Spencer氏は、米国時間7月22日にメーリングリストでChromiumに関する発表を行い、「O3Dチームは、『Chromium』ビルドへのO3D統合に取り組んでいる。もう少しで統合に向けた第1段階を完了するところまで来ている」と述べ、さらに「ビルドプロセスの一環として、ChromiumのWindows向けビルドをO3Dのビルド作成に依存させる」と記している。Chromiumは、Chromeのもとになっているオープンソースプロジェクトだ。
今回の動きは、高性能のウェブベースのゲームへの道を開くことによって、静的な媒体だったウェブを各種アプリケーションの基盤へと変容させるというGoogleの野望をさらに押し進めるものだ。Googleはほかにも、ウェブアプリケーションにコンピュータの処理能力をフル活用させることを目指す「Native Client」プロジェクトにも取り組んでいる。
こうした全般的な取り組みは、GoogleがChromeベースのオペレーティングシステム(OS)「Google Chrome OS」を発表したことにより、新たな重要性を帯びてきている。2010年下半期にネットブックに搭載される予定のChrome OSは、Linuxをベースとして利用するものの、Chrome OSアプリケーションの真の基盤はウェブだと、Googleでは説明している。
Googleでは、Native ClientもChromeに組み込む計画だ。
GoogleのNative Client担当エンジニアリングマネージャーBrad Chen氏は6月の時点で、以下のように述べている。「ブラウザプラグインのインストールに対しては、当然ながら抵抗感があることをわれわれは認識している。ゆえに、Native Clientをブラウザにプレインストールするか、あらかじめ組み込んだ形で提供するほうが好ましいと、強く思っている。今後はNative Clientをユーザーに提供する際の主要な戦略として、この方式に力を入れていくことになる」
こうした技術を提供するだけでは第1段階にすぎない。Googleは、これらの技術を学んで利用するようプログラマーを説得し、これを大いに活用するようウェブ開発者を納得させなければならない。だが、これは簡単な話ではない。これらの技術を活用できるブラウザがほとんどないとなればなおさらだ。
だが、Googleはプラグイン版の開発にも取り組んでいるので、Chromeがこの高速化機能を備えた唯一のブラウザになることはないだろう。Chromeに組み込むことにより、Googleはこの機能をサポートするよう、ほかのベンダーにある程度の圧力をかけることができる。
Native ClientとO3Dを何らかの形で標準にできれば、サポートする価値があるとプログラマーを納得させ、潜在的なライバルを味方に引き入れる後押しになる。Microsoftで「Internet Explorer」(IE)担当ゼネラルマネージャーを務めるAmy Barzdukas氏は「(ウェブ開発者が)利用可能な承認済み標準のサポートは、われわれが大いに支持するものだ」と以前に行われたインタビューで発言している。
ウェブページの記述に使用されるプログラミング言語であるHTMLの開発は、ここ数年間ほぼ休止状態にあったが、ブラウザメーカーがウェブをアプリケーションプラットフォームに近づけようとしていることから、にわかに開発ペースが速まっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ
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