ラスベガス発--ライバルが増える中、Microsoftは米国時間3月19日、最新のウェブブラウザ「Internet Explorer(IE) 8」をリリースする計画だ。
Microsoftが最初にIE8を紹介したのは1年前のことで、それ以来、テスト期間を重ねてきた。IE8では、セキュリティを強化し、プライベート閲覧モードが加わった。事前に設定されたウェブページを「Web Slice」として保存して、一覧表示できる機能もある。
だが、最大の変更は目に見えない部分で行われている。それはウェブ標準への対応を強化するという決断だ。これにより、ウェブ開発者は今後開発が容易になる一方で、古いバージョンのIE向けに最適化されているウェブサイトには互換性問題が生じる可能性がある。この問題に対応するため、Microsoftは、ウェブサイトが旧バージョンのエンジン向けに最適化されている場合を考慮した「互換性」モードを提供する。
予想通り、Microsoftは当地で開催されるウェブ開発者向けイベントMIX 09にてIE8のローンチを発表する。
IE8は、「Firefox」がシェアを伸ばし、GoogleやAppleなどとの競争も激しくなる中でリリースされることになる。Net Applicationsが測定しているIEの世界ベースのシェアは、2004年は90%だったが、2008年末には70%をわずかに上回るレベルまで減少している。
GoogleとAppleは自社製のブラウザに搭載される新しいJavaScript検索エンジンの性能を盛んに宣伝してきたが、Microsoftはむしろ処理速度に対する注目をそらそうとしてきた。Microsoftは動画を先週公開し、IE8は多くのケースにおいて、他のブラウザと同じ速さで人気ウェブサイトを表示すると述べた。
Microsoftのシニアディレクターを務めるAmy Barzdukas氏は「多くの場合、一瞬のわずかな速度の差を争っている。このわずかなスピードの差が影響力を持ってしまっている」と述べた。
IEのシェアが減少傾向にあるにも関わらず、欧州連合(EU)はブラウザをOSにバンドルして販売することが独占禁止法違反にあたるとして、Microsoftに対する制裁措置を検討していると述べてきた。EUは、Microsoftの行為がEUのアンチトラスト法に違反している疑いがあるとする。
Microsoftは3月19日太平洋夏時間午前9時からIE8のダウンロード提供を開始する予定である。しかし、自動更新をPCに設定しているWindowsユーザーにアップデートが提供されるまでには、もうしばらく時間がかかるだろう。
IE8は「Windows 7」にも組み込まれる予定である。しかしユーザーは他の機能と同様に、IE8の機能をオフにすることができる。
Microsoftは将来のブラウザ計画について多くを語らないが、コーポレイトバイスプレジデントのMike Nash氏は、IE8以降はブラウザがリリースされないという憶測をしずめようとする様子を見せた。
同氏は次期ブラウザについて「どういう名称のものになるか言えないが、今回で最後というわけではない」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス