また、海洋関連の取り組みについては、質の高いコンテンツを生み出す一流のユーザーが揃っている。Google Earth 5.0の発表会には多くの海洋研究者が集まり、そのうちの何人かは、集めたデータをどこかに都合よく表示する手段に対する需要が高まっていることを示した。それは、単に同僚の博士らと海面温度のデータを共有するためだけではなく、公にさまざまな情報を提供しようとする試みでもある。
Monterey Bay Aquariumの広報担当ディレクターであるKen Peterson氏は、自身のGoogle Earth用レイヤを興奮気味に披露した。同氏のレイヤは、多種多様な魚の生息地を示した上で、それらの魚を食べるべきか、あるいは他の魚を代用すべきかといった情報が付されている。スタンフォード大学のBarbara Block氏とデューク大学のPatrick Halpin氏は、衛星への無線を使って記録したサメの進路を示した。コロラド大学ボルダー校のRoss Swick氏は、北極の氷床が過去29年間に徐々に縮小してきた様子をGoogle Earthのアニメーションで披露した。またLiving Oceans FoundationのPhilip Renaud氏は、サンゴ礁の状態を記録するという同財団の任務の一環として、紅海の水中の様子を撮影したビデオを提供した。
しかし、Hanke氏が思い描いているのは、ダイビングやカイトサーフィンに最適な場所といった消費者向け情報など、より幅広い情報だ。そして最終的には、地上、海を問わず、地球上の「すべての場所」に情報を持たせたいと同氏は考えている。
Hanke氏は、「われわれはユーザーに働きかけ、世界のあらゆる場所に注釈を付けてもらおうと考えている。われわれの現在の取り組みの一環として、その空間情報のエコシステムの種をまいている」と述べ、さらに次のように続けた。「それにより、将来Googleが、電話、携帯端末、自動車に位置情報サービスを提供し、人々を最適な場所に導くチャンスが生まれる。ユーザーにとっての貴重なガイド、すなわち、ユーザーを最適な場所に導く頼りがいのある情報源となることは、Googleにとって強力かつ重要な戦略だ」
これは、ある意味では第2のインターネットと考えることができる。情報を探す際に、抽象的な名前を使うことだけではなくて、実在の場所を使うことができる。このアイデアを「Geographic Web」と呼ぶ人もいる。
Google Earthがもたらす間接的な利益を最も明快に説明している例は、同社が元米副大統領のAl Gore氏を説得して、Google Earthの支援を取り付けたことだ。気候変更に関するドキュメンタリーでオスカーとノーベル平和賞を受賞している同氏は実際に、Googleの事業におけるより実際的で資本主義的な現実を相殺できるエコという後光を提供した。
Googleは、利他的で教育的なモチベーションを多くの研究者らと共有するようだ。しかし、Google Earthでのビジネスも忘れているわけではない。
Birch氏は「われわれは、人々が使いたくなる製品を作ろうとしている」と述べ、「われわれは価値を創造し、それから利益化の適切な方法を考える」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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