サンフランシスコ発--「Google Earth」でついに海洋の探索が可能になったが、それがGoogleに直接大きな利益をもたらすわけではない。しかし、これは同社にとって賢明な試みだ。
Googleは初期のころ、オンライン検索問題に対する最適な回答を提供することで評判を築いた。しかし、同社はすでに大企業であり、今もなお規模を拡大し続けている。それは、同社が現在の不況に対しライバル企業よりも強い耐性を見せていることからも分かる。しかし、ユーザーたちとの良好な関係は永遠に続くものではない。
しかし、Google Earthは、Googleがそのブランドを世界の人々、特に学生たちに広める新たな手段といえる。学生らにとって、Google Earthは今後、従来の地図帳や百科事典に代わる新たな教材となるだろう。また長期的には、「Google Maps」とGoogle Earthは、スタンドアロンソフトウェアとして、あるいはブラウザを通じて利用される形で、現実世界を眺めるための仮想窓として広く普及するだろう。そして、Googleはその技術と、ポータルの商業化を支配することになる。
では、Google Earthで海洋深度を見られるようにすることが直接利益に結びつくのかというと、その可能性は低いだろう。しかし、Google Earthの全体的な実用性を徐々に高めていけば、長期的にその価値や有用性を維持できる。
Google EarthおよびGoogle Maps担当ディレクターであるJohn Hanke氏はインタビューで、「短期的には、(レストランやホテルの検索など)近隣や特定の場所の検索にチャンスがある」と語る。
Google EarthのプロダクトマネージャーであるPeter Birch氏は「Google Earth 5.0」の発表イベントで、GoogleはGoogle MapsとGoogle Earthに広告を掲載する実験を始めていると付け加えた。目的地に行く前にその場所について情報収集を行う必要がある場合は多い。そのため、Google MapsやGoogle Earthはいずれ大きな利益を生むコンテンツとなる可能性もある。ただ、これを実現するには長い年月を要するかもしれない。また、サーバハードウェアやネットワーク回線容量の拡張に多額のコストがかかるだろう。しかし、Googleはこれまでも、長期的なプロジェクトに辛抱強く投資してきた。
Hanke氏は、同社の地図関連サービスにかかる費用は明らかにしなかったが、同社にとって経済的に有利な面がある。Googleの検索エンジンは、外部の人々がインターネット上に掲載した無数の情報を活用しているが、Google Earthも同様に、Googleが報酬を支払う必要のない外部の人々から提供された情報を集約したプラットフォームだ。これはインターネットのユーザー生成コンテンツに関する話だが、今回はそれが地球地図に重ね合わせられるデータであるということだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」