Adobe Systemsは米国時間12月17日、Linux用Adobe Integrated Runtime(AIR)の正式版を発表し、同製品をWindows版およびMac版と同水準にした。
この新バージョンは、「Adobe Flash Player 10」を完全にサポートしている点で、以前のLinux用AIRベータ版と異なっている。Adobe Flash Player 10には3D効果、高解像度のテキストレンダリング、カスタムフィルタ、そしてデジタル著作権管理(DRM)のサポートが含まれている。これらの機能は、写真および映像編集ツールのようなメディアに特化したアプリケーションや、AdobeのAIRを基盤としたメディアプレーヤーソフトウェアのようなアプリケーションにとって重要である。これらのアプリケーションでは、著作権保護コンテンツの提供でDRMサポートが使用されている。
このアップデートは、AIRを3大プラットフォームにまたがって統一することに向けた重要な1歩でもある。AIRのWindowsおよびMac版が利用可能な機能が、Linux版では一部利用できなかった。これによって、Linuxユーザーが利用できるアプリケーションが限定されていた。最近では、有名なTwitterのクライアントである「Twhirl」でこのような事態が起きている。特別なAdobe Flash Player 10の機能を動作させるためには、AIRの最新スペックを必要とし、LinuxユーザーはTwhirlの利用ができなくなった。
Adobeのプラットフォーム担当製品マネージャーであるAdrian Ludwig氏によると、同社は、3バージョンすべての状態を最新に保ち、将来はアップデートを同時に発表する予定だという。実際、これにより、開発者がアプリケーションを書く場合、すべてのプラットフォームで動作させるための特別なコーディングが不要となる。さらに重要なことは、Twirlの様な事態が2度と起きなくなるだろう。
さらにLudwig氏は、Linux版開発におけるハードルのひとつに互換性があったことを挙げる。「2%以下のクライアントしかLinuxを利用していない」と同氏は述べ、「このような小さい市場にアプリケーションを提供するのは挑戦的なこと」と続ける。Ludwig氏は、AIRのような互換性を提供するプラットフォームを持つことは、Windows向け以外にアプリケーションの開発をこれまで考えたことがないような新しいデベロッパーを呼び寄せることになると思う、と述べる。
Ludwig氏によると、AIRの次なる目標が携帯端末への進出にあり、11月のAdobe Max Conferenceで概略が説明された「中型のモバイル」端末を手始めにするという。また、この新Linux版が、「Ubuntu 7.1」以上、「Fedora 8.1」以上、「openSUSE 10.3」以上などと互換性があることも注目に値する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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