検索大手のGoogle(Mozillaの大口出資者でもある)による新しいウェブブラウザ「Chrome」のリリースは、GoogleがMozillaの最大の競合相手になろうとする試みを示す動きだ。それにもかかわらず、Mozilla Corporationの最高経営責任者(CEO)であるJohn Lilly氏は米国時間9月1日、Chromeのリリースについて達観した意見を述べた。
Chromeは必然だった、とLilly氏は述べている。
「Googleがここに登場してきたことは、まったく意外ではないはずだ。彼らのビジネスはウェブであり、物事はどのようにあるべきかについて、彼らは明確な意見を得てきた。Chromeは、彼らが重要と考えることに対して最適化されたブラウザになるだろう」と、Lilly氏は9月1日のブログに書いている。
Chromeのベータ版は、9月2日よりWindows向けに利用可能となっており、長くブラウザ界に君臨しているMicrosoftの「Internet Explorer」に飽き飽きしているウェブサーファーにとっては、明らかに「Firefox」と並ぶ選択肢となる。
MozillaとGoogleは、長きにわたって非常に緊密な協力関係を築いてきた。GoogleはMozillaのFirefoxブラウザにデフォルトの検索エンジンを提供している。そして、こうした特別待遇を得るために、GoogleはMozillaに多額の出資をしている。Mozilla Corporationが2006年に集めた6600万ドルのうち、5600万ドルはGoogleが出資したものだ。
しかし、Lilly氏は自身のブログで、Googleとの競争を歓迎すると語った。MozillaはGoogleとの資金面での関係を2011年まで継続するだろうし、クラッシュ報告システム「Breakpad」などでは技術面の共同作業も続けるだろう、とLilly氏は述べた。
Mozillaでマーケティング部門のバイスプレジデントを務めるPaul Kim氏は、Googleのスタッフには、今後もMozilla Foundationのプロジェクトに協力を続けてもらってかまわない、と述べている。「100%オープンソースのプロジェクトとして、Firefoxへの貢献は誰からのものでも歓迎する」とKim氏は述べた。
「より優秀な人が、一般の人にとってウェブを使いやすいものにする方法を考えるのは、絶対にいいことだ」(Lilly氏)
「競争は往々にして、何らかの革新をもたらす。ブラウザにおいては特に今年それが顕著で、JavaScriptのパフォーマンスの大幅な向上、セキュリティプロセスの前進、ユーザーインターフェースの飛躍的進歩といったことを実感できるはずだ。Googleが競争に参加してきたことでこうした状況が続くと、私は予想している」(Lilly氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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