北京五輪の開幕が迫る中、各国の報道陣は、五輪開催中、彼らに開放されないと予測されるものが少なくとも1つあることが分かった。それは、インターネットだ。
Associated Press(AP)の記事によると、五輪を主催する中国はこれまで、取材を行う報道陣は開催期間中、メインプレスセンターや競技場でインターネットを自由に利用できると確約したにも関わらず、その確約を撤回したという。具体的には、向こう数週間にわたり北京で取材を行うおよそ5000人の記者らは、Amnesty Internationalやアドレスに「Tibet(チベット)」の文字が含まれるサイトなど、複数のウェブサイトにアクセスできない。
中国は、2001年に五輪開催地に立候補した際、国際的主催者らに対し、「完全な報道の自由」を確約した。さらに4月、中国の主催者らは国際オリンピック委員会(IOC)のメンバーに対し、インターネット検閲は中国市民に対しては日常的に行われているが、五輪開催中、報道陣に対しては行わないと語っていた。
しかし、IOCのメンバーらは現地時間7月29日に発表した説明の中で、インターネット利用の自由は「五輪競技」に関連するウェブサイトにしか適用されない、と述べている。一部のジャーナリストからは、ダウンロード速度が遅いとの不満の声や、インターネットを使用させないために意図的に行っているのではないか、との疑念の声さえ上がった。
ルーマニアのProTVの記者、Mihai Mironica氏はAPのインタビューに対し、「この種の検閲はアテネ(五輪)では考えられなかったが、中国ではより厳格なようだ」とし、さらに「仮にジャーナリストたちが完全なインターネットアクセスを確保できなければ、問題になることは間違いない」と付け加えた。
NBC Sportsのシニアバイスプレジデントが中国の主催者側に、天安門広場での放送、インタビュー規制を解除するよう求めたところ、「これ以上その問題を持ち出さないよう」回答が返ってきたという。NBC Sportsは、五輪の放映権を獲得するためにおよそ9億ドルを支払った。
中国政府からインターネット上でアクセス可能なサイトと不可能なサイトを指定されることは、いら立ちを覚えるだけでなく、若干不安でもある。中国政府がジャーナリストたちを慎重に監視していることは想像に難くない。数カ月前のチベット弾圧の際に、中国政府がYouTubeに対して取った対応を見ると、中国当局の機嫌を損ねる内容の記事を書いた記者に一体どれだけの「報道の自由」が与えられるのか疑問だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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