Googleは米国時間5月19日、医療記録の保存管理や医療サービスの検索などを提供する「Google Health」のベータテストを開始した。
特定の分野では、単なる検索企業からの発展を目指すGoogleの戦略が、必然的に力を帯びるようになっている。「Microsoft Office」に対抗する存在となる「Google Docs」などは、その良い例である。しかしながら、Google Healthでは、監査機関や複雑なプライバシー問題が絡み合ってくることになりそうである。
Google HealthのプロダクトマネージャーであるRoni Zeiger氏は「個人健康記録は、まさに立ち上がったばかりの分野である。ほんのわずかな人々のみが、こうしたツールを利用しているに過ぎないという現状は、いまだに(コンピューティングおよびヘルスケア業界の)われわれがふさわしい段階には達していないことを意味している」と述べた。
Googleは、約1年に渡って、個人健康記録イニシアチブに関する計画を明らかにしてきた。Googleの検索プロジェクトおよびユーザーエクスペリエンス担当バイスプレジデントであるMarissa Mayer氏は、ついに「われわれは実際の製品を手にすることになった。本日より登録して利用することができる。一般市民に向けて公開されているのだ」と語っている。
Zeiger氏は、Google Healthが、患者の情報の販売を手がけることは決してなく、患者の了解が得られる場合のみ、情報の共有が行われるという点も明らかにした。さらにユーザーは、いつでも望む時に、情報の共有を取りやめることもできる。
「Google Healthのユーザーが、Google Healthの登録情報を、Googleの他のサービス上で検索結果として見出すことなどは決してない。Google Health上の情報は、ユーザーだけのものである」と、Zeiger氏は述べている。
Google Healthに参加するには、ユーザーが、さまざまな使用条件に同意することも求められる。その中には「あなたがGoogle Healthを通じて情報提供を行う時には、Googleに対し、Google Healthや他のGoogleサービスに関連して、その情報の利用や配布を許可するライセンスの提供に同意することになります」といった条件も含まれている。
Googleは基本的に、医療関連機関からのデータインポートや、ユーザー個人からの追加情報により、個人健康記録のマスターレコードを作成する。
Zeiger氏は「ユーザーの皆さまのために、Googleは、ユーザーの記録のコピーを保存している」と語った。医療団体とのコネクションに関しては、最新情報を入手するため、定期的にアップデートがなされる可能性がある。
Google Healthは、すでに電子的に医療記録を保存している、Walgreens、Medco、RxAmerica、Longs Drugsなどの薬局、Beth Israel Deaconess Medical Center、Cleveland Clinicなどの医療施設、臨床検査結果を保存しているQuest Diagnostics、4万人以上の医師向けに、診療記録を保存しているAllScriptsなどとも提携している。AllScriptsのスポークスマンであるTodd Stein氏は、AllScriptsから医師の診療記録をインポートするためには、医師がGoogle Healthへの接続を承認する必要があると述べているものの、すでに同社の提供ソフトウェアでは、接続の確立がサポートされていると述べる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」