UPDATE Googleは米国時間4月7日夜、「App Engine」と呼ばれるサービスをローンチした。GoogleはApp Engineを擁し、オンラインアプリケーションのための拡張性の高いインフラを求めるプログラマや、いずれは企業を取り込む意向だ。
GoogleデベロッパーチームのPete Koomen氏によると、App EngineはGoogleの複数のオンラインサービスを組み合わせて提供するもので、最初に登録した1万名までが無料で利用できるという。提供されるサービスには、かねてからの予測の通り、データストレージ処理の「BigTable」や、コミュニケーションをハンドリングするサービスや電子メールへのサインオンを支援する認証も含まれると、Koomen氏は述べる。
7日の夜に催される「Campfire One」イベントで、社内で開発したウェブアプリケーションの一部を披露する計画だ。その中の1つが、自動車の相乗り通勤に登録できるというもので、人々が乗り合いを希望する時間帯を登録すると、パートナーを設定してくれる。
開発者たちは、プログラムが想定していたハードウェア計画やソフトウェア計画を上回る大きさになった場合でも、再作成する心配をしなくて済むと、GoogleはApp Engineについて喧伝する。
Koomen氏は「トラフィック負荷の増加に応じて、システムを6~9カ月おきに設計し直しているというケースを頻繁に見かける」と述べる。App Engineを使えば、Googleのサーバを何台も利用しながらソフトウェアを配布できるため、こうした問題を回避し、より大規模な利用へと自動的に移行できるという。
筆者は、Googleの動きが、Amazonの「Elastic Computing Cloud(ECC)」やSalesforce.comの「AppExchange」などのオンラインサービスに競争圧力をもたらすと考えている。
しかし、「Google Version 2」の著者でもあるStephen Arnold氏はApp Engine計画はより大きな野心に満ちていると述べる。大企業は、GoogleのBigTableソフトウェアと、大規模のデータを処理するためのSawzall技術を用いると、今のところ対応できていないようなデータマイニングなどのタスクを実行できる。利用例としては、American Expressが5年分に相当するクレジットカードのトランザクションを解析して、父の日のプロモーションを決めるなどが挙げられる。
AmazonのホステッドサービスはOracleのデータベースソフトウェアによる制限があるのに対し、「これは銀行やクレジットカード業界がハッとさせられるサービス」とArnold氏は述べる。
Koomen氏によると、App Engineはプログラミング言語のPythonで記述されているが、Googleではほかにサポートすべき言語について意見を求めているという。プログラマーはソフトウェア開発キットを使って、自分のコンピュータでソフトウェアを書き、App Engineにアップロードできる。
サービス開始当初のApp Engineには、ストレージ容量が500Mバイト、1日あたりのデータ転送容量が10Gバイト、1日あたりのプロセッササイクル2億回までという制限が設けられる。これは、1月あたり500万ページビューのサイトを稼働できるくらいの処理能力に相当すると、Koomen氏は述べる。
プレビュー期間終了後は、誰もがこれくらいのキャパシティを無料で利用できるようになり、それ以上を利用する場合は有料になる。課金体系はPay-as-you-go式(従量制)であることが明らかにされているものの、具体的な金額は発表されていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス