Qtraxのビジネスは、一見うまくいきそうだった。
同社幹部らは、違法なファイル共有は捕捉すると説明して報道陣を説得し、海賊版音楽が蔓延するGnutellaネットワーク上にインターフェースを構築した。そして、楽曲を合法的にダウンロードし共有する方法をユーザーに提供すると約束していた。
Qtraxのマネージャーらは、大手レコードレーベルに対してはファイル共有が有利なビジネスになりうると説得し、4大レーベルすべての参加を取り付けたと公表していた。
Qtraxは米国時間1月28日、予定より12時間以上遅れて同社の音楽サービスを開始した。その前日には、同社には楽曲の販売権がないとして大手レコード会社らに非難される騒ぎとなった。
ニューヨーク新興企業であるQtraxの待望のサービスは、1年以上かけて準備した揚げ句に大失敗に終わった。
このQtraxの一件には教訓が2つある。第1に、全大手レーベルが望んでいたのは、単なるダウンロードではなく広告付き楽曲だということだ。第2に、Qtraxの経営陣はサインが済んでいない取引を公表するよりマシなことを考えるべきだったということだ。Qtraxの最高経営責任者(CEO)であるAllan Klepfisz氏は27日にCNET News.comに対して、契約書は持っていると述べたが、未署名であることを認めている。
誰でも知っているように、契約書にサインがなければ取引は成立していない。
この点については、映画「ザ・エージェント」の中で女優のKelly Preston氏が演ずる広報担当者の台詞がおそらく最も端的に語っているだろう。「握手は信じないこと。売り込んで、サインさせること。混同してはダメ」
Qtraxがライセンス契約でつまずく一方、大手レコード会社は、現在数を増やしているストリーミングのみでコンピュータやデジタル音楽プレーヤへのダウンロードサービスのない広告付きサイトと提携を進めている。
ImeemやLast.fmなど、ストリーミングだけを提供するサービスでは、Universal Music Group、Warner Music Group、The EMI Group、Sony BMG Music Entertainmentの4大レーベルすべてが保有する楽曲が提供されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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