エイミーストリートジャパンは12月5日、音楽配信サービス「Amie Street Japan」のサービスを開始する。
Amie Street Japanは米国で2007年6月よりサービスを開始している音楽配信サービス「Amie Street」の日本向けサービスだ。エイミーストリートジャパンはターボリナックスの100%子会社となるが、米Amie Streetと独占ライセンス契約を締結し、国内向けでのサービスを行う。
このサービスの最大の特徴は、ユーザーがアーティストや名曲を発掘したことに対して、インセンティブが与えられることにある。
すべての楽曲はDRMフリーで192kbpsのMP3ファイルで提供されている。また、価格は販売当初0円に設定されており、無料でダウンロードすることが可能だが、特定の販売数を超えると価格が150円までスライドして上昇していき、大きくダウンロード数をのばした場合、最大200円まで価格が上昇する。つまり、価格が人気のバロメーターとしての役割をはたしているのだ。
また、ユーザーにはサインアップしてすぐに「REC」と呼ばれるレコメンデーションを書き込む権利が1つ与えられる。これを使って自分がレコメンデーションした楽曲の人気が高まり、ダウンロード数が増えて価格が上昇した場合、上昇した後の価格と自分が購入した際の価格との差額を楽曲購入用の電子マネーとして受け取ることができる。なお、楽曲を購入するための電子マネーとRECの権利についてはBit Cashかクレジットカードで購入できる。
エイミーストリートジャパン代表取締役社長の松田未央氏は、このAmie Street Japanのシステムについて、「キャッシュバックされる額は多くはないが、ユーザーがアーティストのプロモーションにかかわるということが本当に実感できるサービス」と説明する。これまでの音楽配信サービスでは購入後に感想を書くことができたが、「(同サービスでは)レコメンドをすることで新しい波を作っていける」(松田氏)。
Amie Street Japanではソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の機能も備えており、ユーザー間でのメッセージのやりとりや、ファンになっているアーティストの登録なども可能だ。今後はユーザー間でのプレイリスト共有機能なども提供する予定だとしている。
また、ユーザーは誰でもアーティストとして楽曲を登録できる。登録した楽曲はサイト上で45秒までの視聴が可能になり、楽曲が売れた場合には、売り上げの60%を得ることができる。ただし支払いは4半期に一度で、累計5000円以上となった場合のみ。なお、米国では売り上げの70%をアーティストに支払っているが、国内ではJASRACでの権利処理代行の手数料が入るために60%という割合に設定されている。
サービス開始時には米国で提供している楽曲13万曲のうち700曲程度が用意される。現在は米国で楽曲を提供しているアーティストに対して国内での販売契約を進めているほか、国内インディーズレーベルやインディーズアーティスト個人とも楽曲提供に向けて話を進めているという。
同社では楽曲販売を収益の中心としたい考えで、バナーなどサイト上での広告ビジネスについては極力避けたいとしている。「サイトでは以下にアーティストが育っていくかが重要。米国でも事例があるが、単純な広告でなく、メーカーにAmei Street Japanのクレジットを購入してもらい、自社商品とともにクレジットを配布するようなタイアップキャンペーンなどは進めていきたい」(松田氏)。
すでにiTunes Storeが圧倒的と言ってもよいシェアを獲得しているタイミングだが、松田氏は「ビジネスモデルで差別化できる。RIAJの発表を見てもCDの売れ行きが下がっていることに対してまだ音楽配信がシェアをとっていない。まだまだ市場は活性化する」と期待を込める。
また、ターボリナックスが子会社を設立して音楽配信事業に参入するということについては「ターボリナックスグループにはオープンソースのノウハウが豊富にある。Amei Street JapanもLinuxやZend、PHPをはじめとしたオープンソース技術をつかって運営している」と語った上で「オープンソースソフトウェアを『提供する』というのではなく、オープンソースソフトウェアを使ってのビジネスを行うモデルケースとしたい」とした。
同社はサービス開始1カ月で1万〜1万5000ユーザー、半年で5〜6万ユーザーの獲得を目指す。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス