Googleが米国時間11月2日に発表したソーシャルネットワーキングサービス(SNS)向けの共通規格「Open Social」。このOpen SocialによってGoogleが何を進めていくのか。また、SNSのサービス提供者たちにどのようなメリットがあるのか--。12月3日に同社デベロッパーアドボゲートのChris Schalk氏が来日し、その詳細を語った。
Open SocialではSNS機能のための共通API規格を開発し、提供する。このAPIを利用することで、開発者は複数のSNSを横断して利用できるソフトウェアの開発が容易になる。また、HTMLやJavaScript、Flash/Flash Liteをコア技術としているため、モバイルにも対応する。Googleでは開発者向けサイトGoogle Code内にOpen Socialのサイトを開設し、技術関連のドキュメントやFAQなどを公開している。
Open SocialはMySpaceやFriendster、LinkedInなど数多くのサービスプロバイダが賛同を表しているが、現在ではその数は200以上。Googleではそれらのパートナーと2週に1回程度ミーティングを実施し、テクノロジーのフィードバックを受けている状態だという。
同氏はまた、「Open Socialのキーエリアはインフラ的な部分。バリアを取り除くだけ」と語る。つまり、インフラ部分のAPI共通化することで、各SNSは独自色のあるサービス開発に注力できるというわけだ。APIは一般の開発者にも公開するほか、各SNSが部分的にだけOpen Socialに対応することも認めていると説明する。
開発中のAPIとしては、「People and Friends Data API」「Actibities Data API」「Persistence Data API」の3つが紹介された。これらを利用することで、ユーザーやそのユーザーの友達関係についてのデータや、ユーザーが何をしているかという行動、何に興味があるかというデータを利用できるほか、ユーザー間での情報共有なども可能になる。
SNSと聞くとコンシュマー向けサービスのみと考えがちだが、Open Socialはエンタープライズ分野のアプリケーションと連携することでもビジネスの可能性をさらに広げると主張する。現在はSalesforce.comやOracleをはじめとした企業が賛同を表明しているが、Schalk氏は「まだ発表していないが多くの企業と賛同に向けて話している」とした。
では、Open Socialにおいて、日本はどういった位置づけになるのだろうか。グーグルプロダクトマネージャーの石原直樹氏は「日本はSNSが最も成功しているという認識」と語る。サービスとしてはすでにmixiがOpen Socialのサポートに名乗りを上げているが、それ以外にもオファーはあり、どうやって参加していくかプランを練っているところだという。しかし、日本で独自にAPIを開発していくのではなく、日本からの意見についても全世界で共有し、Open Social全体にフィードバックしていくとした。
今後は米国で行っているミーティングのフィードバックもビデオカンファレンスなどを通じて積極的に実施していく。ローカリゼーションの面では日本が最初に問題を提示することが多いため期待を寄せているとした。ドキュメントに関しても日本語化を進めているところだという。
SNSに標準化をもたらそうとするGoogleだが、これによって同社へのメリットはあるのだろうか。Schalk氏は「まずは技術面でのコアな部分を作り、収益化は後々考える」と語る。米国のSNS「Fcacebook」同様に、APIで取得できるデータをもとにして広告ビジネスを展開する予定などについては、「将来的にはありえる」としたものの、現状では技術面での成長に注力するという説明にとどまった。
なお、Fcacebookは6月にAPIを公開しており、Open Socialの背景にはこの影響もあるのかといった質問も出たが、Schalk氏は「直接対決する意図はない。時間がたてばもっと協力できると思っている」と語り、同サービスとの対決姿勢については否定している。
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