サイボウズ創業者の高須賀宣氏が渡米して設立したソフトウェア開発会社の米LUNARRは10月2日(日本時間)、社名と同名の統合ウェブアプリケーションソフト「LUNARR」(アルファ版)を正式発表した。同社設立後、初のサービス展開となる。
文章作成などの各種ソフトとメーラーを組み合わせたサービスで、集団内でのメールによるコミュニケーション履歴と作成済みデータの一括管理ができるものとして提案する。
企業に限らない集団において、個々人が入力したデータとコミュニケーションツールを統合してやり取りすれば、より円滑な情報管理ができると判断。日米を軸に世界規模でネット利用者が既存のウェブアプリケーションから乗り替えることを狙い、2009年から有料サービス化を目指す。
同サービスの着想は、個々のインプットデータがローカルの端末に格納されがちな一方、コミュニケーション手段をメールに頼る傾向にあることが、集団における情報共有が円滑に進まない主因と仮定したところにある。この着想を基盤に、「情報共有を前提とした最適な情報入力・共有方法はウィキ、その伝達方法はメール」という条件を満たすソフトとして、LUNARRは開発された。
具体的には、同サービスでやり取りするデータに“表と裏”の概念を導入。このデータをやり取りするためのソフトをブラウザ上で提供する。
まず、独自開発した文章作成ソフトでデータを作成し、同じく独自開発のメーラーを起動してメッセージを送ると、作成データが付加されたメールが送れるという流れ。現時点で実装されているのは文章作成ソフトのみだが、今後は表計算などそのほかの企業向けアプリケーションソフトや企業向け以外のソフト提供も視野に入れている。
LUNARRが提供するソフトのデータはLUNARR利用者しか取り扱えないが、Microsoft製のソフトなどで作成した既存のデータやウェブページ(メーラー上で閲覧可能)であれば、LUNARR利用者以外とのやり取りもできる。
これにより、同社では特定データに関連したメールを処理しやすくなり、集団内での情報共有がしやすくなると見ている。また、メール送信先となる人やデータ同士の関連情報のリンクを自動作成するため、自動的にメタ情報が蓄積される仕組みになっている。
現在、同サービスは約100人に提供されており、そこからさらに各人50人を招待できる手法で展開している。今後は利用者からの意見などを取り入れつつ、2008年をメドにベータ版を提供し、正式版を発表する予定の2009年に有料サービスとして展開する方針。
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