最新技術をめぐっては往々にして喧伝と反動の周期があるが、仮想世界「Second Life」についても、予想された反動期を迎えていることは間違いない。
Second Lifeの登録ユーザー数は、2006年秋に100万人に達し、すでに1000万人近くにまで増加した。もちろん、この数字は、Second Lifeの実ユーザー数を反映するものではない。
だが、ユーザー数に関係なく、Second Lifeに多くの大手企業が出店していることをメディアが取り上げた時期、騒ぎはますます大きくなった。そして今、Second Lifeが迎えている反動期は、こうした企業が仮想世界に何らかの価値を見出しているのかどうかという疑問と大いに関係がある。
喧伝は正当なものだったのか、それとも反動が来るのは当然なのかと、大勢が疑問を投げかけている。
「Virtual World News」の記事によると、有名な市場調査会社のYankee Group Researchが評価を行ったという。Yankee Groupは米国時間10月1日、「Second Lifeの喧伝は、メインストリームの双方向性に影響を与える実際の能力を大きく上回っている」(Hype of Second Life Far Outweighs Its Ability to Impact Mainstream Interactivity)と題したプレスリリースを発表した。
Yankee Groupのプレスリリースは、単刀直入にこう始まっている。「Yankee Groupは本日、Second Lifeをめぐる喧伝が市場に及ぼす実際の影響力にふさわしくないことを明らかにした」
同社の分析は、ユーザーの利用時間が2006年の最盛期と比べて大幅に減少しているという考えに基づいている。「Facebook」や「MySpace」といった人気のSNSと比べて、Second Lifeは勢いを維持できていない、とYankee Groupは指摘している。
もちろん、Second Lifeを知っている人にとって、無数の問題があることは否定しようのない事実だ。たとえば、難しいユーザーインターフェースや、絶え間ないプラットフォームの破綻、それに遅延などの恒常的な問題もある。Second Lifeにとどまるユーザーは、こうした問題にもかかわらず使い続けているのだ。
だが、Yankee Groupの分析で目を引くのは、次のように明言している点だ。Second Lifeにとって主要な障害の1つは、「モバイル利用が拡大している」中で、「PC中心」のアプローチをとっていることだ、というのだ。
ここでの主張は、おそらく他の仮想世界やSNSにも当てはまるが、Second LifeはPCからモバイル機器に移行できなければ、真に適正な水準まで成長しない、というものだ。
この主張が正しいかどうかは議論の余地がある。だが、これは興味深い見方であり、「iPhone」などの機器が登場したことを考え合わせると特にそうだ。iPhoneのような機器なら、将来、どこからでもSecond Lifeにアクセスできるようになる可能性がある。
しかし、今のところ明らかなのは、Second Lifeの評価を下げる理由を探している人が大勢いて、Second Lifeを運営するLinden Labが主要な問題の一部でも解決しないと、実際に評価が下がるだろうということだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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