壇上が一致した見解を示す中、注目を集めたのは会場を訪れた文化庁OBの来場者。「(作業の現場としては)米国の要望書など意に介しておらず、あくまで日本のメリット・デメリットを考えている」とし、米国の要求を外圧ととらえて短絡的に拒絶反応を示す現状を疑問視した。また、著作権保護に関する議論が「強化を求める権利者」と「それに反対する者」という対立軸になりがちな状況についても「建設的ではない」とし、期間延長に伴うデメリットの部分を解消する施策を考えるなど、成熟した議論を進めていくべきとした。
今後求められる日本モデルについては、モデレーターの福井氏が「正当な利益の保護」「コンテンツの流通・利用」「新たな創造」の3点についてバランスをとることを提案、パネリストも大筋において同意した。一方、課題として同一性保護を前提とする人格権・財産権についての指摘があったことに対しては、中山氏が「過去の著作物をベースとした新たな創造を誰でも簡単にできるのがデジタルメディアの特徴。権利保護を弱めることに否定的な意見は多いが、(人格権の維持が)権利者側のクリエイターにとって不利益となるケースもある」との持論を展開した。
世界との調和をどう取るかについては「(ベルヌ条約で定められた)死後50年を採用しており、すでに調和は取られている」(中山氏)と断言。その上で「日本発のモデルを世界に向けて発信していくことが必要」(久保田氏)とまとめた。
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