仮想世界「Second Life」を運営しているLinden Labの最高経営責任者(CEO)Philip Rosedale氏によると、ユーザーのかねてからの希望通り、数カ月以内にはSecond Lifeのアバターがしゃべれるようになるという。
テキストベースのアバターに声を持たせたいと長らく望んできたSecond Lifeユーザーは多く、3月になってSecond Lifeは音声をアバターに組み合わせる小規模なベータテストが開始された。
Rosedale氏はサンフランシスコで開催された「Gartner Symposium ITxpo」で基調講演を行い、数カ月後にはSecond Lifeでの音声利用が公式に始まる見込みだと述べた。
「従来の電話を使って電話会議をすると、数多くの問題が起こる。例えば2人以上の人間が声を出した場合、だれが話しているのかさっぱりわからなくなってしまう」とRosedale氏は言い、アバターに3次元音声機能が統合されることで、Second Life内で仮想会議を開くユーザーが増えるかもしれないと展望を語った。
このほかにもSecond Lifeでは、ユーザーの写真をアバターに流用する機能を追加することを計画している。また、コンピュータ画面上で蝶がひらひら舞う様子を見られるなど、細部のデザインにこだわって仮想世界をさらに現実化する計画も温めているという。
Rosedale氏は、「Second Lifeのグラフィックは質が高いが、完ぺきというわけではない」と述べ、5年以内にはインターフェースのリアル度が大幅に上昇するだろうと予測した。「コンピュータ画面を通して見るすべてのものが非常にリアルになり、まるで窓から外を眺めているよう気分を味わえるはずだ」(Rosedale氏)
これに加え、Second Lifeをさらに現実世界へ近づけるために、数四半期中に同サービスのグリッドを常時稼働させて、仮想世界におけるダウンタイムを削減する予定だと、Rosedale氏は説明した。結局のところ、仮想世界の中でも時は金なりなのである。
Linden Labは現在、2週間ごとに5〜6時間ほどサービスを休止し、シミュレーターのアップデートやネットワークの増強を実施している。今後数カ月の間に新しい「シミュレーター」コードをグリッドに実装していくそうだが、そのために休止時間を延長することはないという。また、現時点ではグリッドにログオンする前にビューワーソフトウェアをダウンロードしておかなければならないが、いずれは同ソフトウェアのアップデートの一部を回避するオプションが提供されるようになる。
ここ最近、Second Lifeに課税制度が導入されるのではという憶測が広まっているが、そうした心配はないとRosedale氏は話した。同氏は、オンラインオークションをはじめとするインターネット上の活動にSecond Lifeを例え、米税務当局はeBayでの取引などを容認していると述べた。
Rosedale氏によれば、Second Lifeでは、運営会社のLinden Labsも含め、外部から受ける影響をなるべく小さく抑えることを目指しているという。だが、同仮想世界の規模が巨大化したことで、この数四半期はそうしたポリシーを貫くのが難しくなっていた。
「統治せずに運営するというわれわれの能力が試されている。必要ならば介入もするが、その後は舵から手を離して、コミュニティの自治に任せていく」(Rosedale氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」