米国時間2月2日、Viacomは動画共有サイト「YouTube」に対し、自社の映画やテレビ番組の不正コピー10万本を削除するよう要請したが、デジタル権利擁護団体の電子フロンティア財団(EFF)によると、この際、無関係の一部ユーザーの動画まで削除されたという。EFFは8日付でYouTubeに動画を投稿し、不当な扱いを受けた人がいれば情報を寄せてほしいと呼びかけている。
このような例として、EFFではスペアリブを食べている友人同士の集まりを撮影したホームムービーと、ゲイのプロレスラーに関するドキュメンタリーの予告編が削除されたケースを挙げ、どちらにもViacomが著作権を持つコンテンツは含まれていないと説明している。
EFFはViacomの行為を例えて、漁師が大きな網を投げ、誤ってネズミイルカを捕らえるようなものだとしている。EFFは同団体のウェブサイトに掲載したメモの中で、著作権侵害で告発されている人たちの一部は、法的な支援を必要としているかもしれないと示唆した。
「法廷で自分の権利について主張するのが、より理に適っているかもしれない」と、EFFの弁護士を務めるFred von Lohmann氏はウェブサイトに記している。
YouTubeの動画に前例のない大量削除が実施されたことを受けたこの議論は、新興のユーザー生成コンテンツの文化において、デジタルメディアに対する規制が往々にして場当たり的に作られていることを示す最新の例だ。また、メディア企業が自社のデジタルコンテンツに対する支配力を維持しようとする中、これらの企業に待ちかまえる多くの落とし穴をも明らかにしている。
ハーバード法律大学インターネット法学教授のJohn Palfrey氏は、「問われるべき質問は、コンテンツを制作する企業、GoogleやYouTubeなどの媒体、ユーザーという三者のニーズのバランスを取る適切な仕組みが、実際にあるのかどうかということだ」と指摘している。
一方、Viacomは、誤って著作権侵害とみなしてしまったのは、ほんの60本か70本程度だと主張している。ただし著作権に関する方針でつまずいたのはViacomだけではない。YouTubeでは、削除された動画が掲載されていたページに誤解を招きかねないメッセージを表示しており、こうした対応も、誤って著作権侵害とされた人たちの神経を逆なでしたようだ。
CNET News.comが入手したメッセージの1つには、「本作品は、コンテンツが無許可で使用されており、著作権所有者であるViacom Internationalからの要請に応じて削除されました」という内容が記載されていた。YouTubeは数日前からこのメッセージを修正し、Viacomから著作権侵害との「申告」があり、削除されたという内容に改めた。
いまだ草創期にあるオンライン動画市場で、インターネットや従来のメディア企業が最初の数歩を誤ったとしても、誰も驚かないだろう。しかし、企業がノウハウを学んでいく過程で一番の被害を受けるのは、企業の顧客やユーザーかもしれない。
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