Forrester Researchの調査に基づいて、iTunesの売り上げが2006年前半に落ち込んだという報道が続いた結果、Appleに関するさまざまな立場の人々によって、憤慨の声や、この落ち込みをひそかに喜ぶ声など、いつもの反応が巻き起こった。
Forresterの調査を執筆したJosh Bernoff氏が米国時間12月13日に述べたところによれば、音楽業界がデジタル音楽販売のさらなる成長を望んでいることは当然であるが、この調査のサンプル数は小さく、デジタル音楽時代におけるオンライン音楽購入者の性質について結論を導き出すには時期尚早だという。
先週公開されたこの調査の中に、iPod所有者は平均して、iTunesを通じてそれほど多くのデジタル音楽を購入しないというデータがあったため、大きな騒ぎとなった。Ipsosが2006年に入ってから実施した別の調査も、今回のForresterの調査と同様の結論に達していた。つまり、大半の人々は、CDから自分用の音楽ライブラリに楽曲をリッピングしており、オンライン音楽サービスを利用して楽曲をダウンロードしているわけではないというのである。
Bernoff氏によれば、Forresterの調査は、1000世帯当たりにおける1カ月のiTunesでの購入件数が2006年1月から6月までで58%減少したとも結論付けているという。この数字は、AppleのiTunesの勢いが衰えてきているということを示唆した報道の多くで大きく取り上げられた。
しかし、Forresterの調査ではこの数字を挙げた後、次の文で「2年分のデータしかそろっていないため、この低下が季節的なものであるか、デジタル音楽の購入が飽和水準に達しつつあるのかを見極めるには時期尚早だ」と述べている。今回の売上低下とよく似た現象は、その規模は小さいものの、2005年の1月から6月にも発生していた。Bernoff氏によれば2005年のこの現象は、クリスマスプレゼントとしてiPodをもらった人々が1月に多くの楽曲を購入した後、月を経るごとに購入楽曲数が減っていったことによって起こったのだという。売り上げの季節的な低下は、成熟した業界では一般的なことである。例えばPC市場ではしばしば、第1四半期と第2四半期の売り上げが、第3四半期と第4四半期の売り上げよりもかなり低くなる。
Bernoff氏によれば、この58%の減少は、iTunesから楽曲を購入した米国内の181世帯のみに基づくデータから導きだされたものであるという。Forresterの調査対象となっている米国5580世帯のうち、2005年6月から2006年6月までの間にiTunesから楽曲を購入したのはわずか3.2%だった。なお調査対象世帯は、クレジットカードを利用した購入をモニターされることに同意していた。したがって今回の調査には、ギフトカードや、PayPalのオンライン決済サービスを利用してiTunesから購入された楽曲は含まれていない。
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