「地図製作の市民ボランティア」らが、「Google Maps」や英国のOrdnance Surveyのような世界地図を提供しようとしている。この世界地図はwikiソフトを使って誰もが編集できる、フリーの地図として公開される。
英国を拠点とするOpenStreetMap(OSM)では、ボランティアが特定の地域のすべての道路を自動車、自転車、徒歩で移動し、それをGPS機器を用いて記録することにより、地図データを収集している。
OSMのウェブサイトは、元々はWikipediaのために作成されたフリーのwikiソフトウェア「MediaWiki」を使用しているため、レイアウトなどの概観がWikipediaのページとよく似ている。しかしOSMは、Wikipediaを運営するWikimedia Foundationのプロジェクトではない。
OSMは2年前、ロンドン在住のプログラマーSteve Coast氏が、Googleや英国の地図作成機関Ordnance Surveyなどの地図の使用には法的および技術的な制約があるとして、立ち上げたプロジェクトである。
同氏は、「Googleは商業的な制約のあるデータを購入している。その地図は無償で配布できるものではない」と述べている。
Coast氏の不満は、米国以外のほとんどの国において政府機関が地図を作成しており、企業や一般向けにそのデータを売ることによって収入を得ているという点である。一方、米国ではこうした地図データの無償提供が義務付けられている。
OSMでは、地図作成に必要なGPSデータの収集とアップロードをボランティアが行っている。3600人以上のボランティアが存在し、1日に約50件のアップロードがある。OSMは定期的に「地図作成パーティ」を開催しており、特定の地域にボランティアを集め、週末の間にその地域の地図を作成してもらっている。
ボランティアにより最近地図が作成された英国の地域には、ワイト島、ラットランド州、サリーヒルズ、バース、レディングなどがある。誰かが生のGPSデータをアップロードすると、他の人が道路名などの情報を追加するなど、編集はwikiソフトを使って行っている。
Coast氏はこれを「ウェブで誰でも編集できるという簡単な仕組みだ」と説明する。
OSMでは、「遅くとも」2008年半ばには英国の地図が完成すると予測している。また、欧州全域へと対象地域を拡大する予定で、コペンハーゲンなど一部の都市の地図は完成しているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」