11月2日に国内でもついに正式版がリリースされたマイクロソフトの最新ブラウザ「Internet Explorer 7」(IE7)。
ブラウザの新興勢力が提供する新機能を多く搭載し、今後のブラウザ市場およびRSSリーダーなど最新のマーケティング手法に与える影響は大きいと見られ、各方面から注目されている。
しかも、IE7は「Microsoft」のブランドだけで展開されるものではない。このため、ブラウザ市場におけるIE7登場のインパクトの余波は、多くの人が当初予定していた以上の広がりを見せるかもしれない。
米国では10月19日のIE7正式リリースに先立ち、前日の18日には米Yahooが「Internet Explorer 7 optimized for Yahoo!」の名称で、自社ブランドにカスタマイズしたIE7を公開した。標準でYahooの検索エンジンを採用しているほか、ホームページもYahooのサイトで、Yahooツールバーも装備されている。
米国の動向を踏まえ、ネット業界関係者の間では、国内でもIE7の他社ブランドバージョンがリリースされるのではないかとの観測が広まっていた。これについてマイクロソフトは「現在、他社ブランドのIE7については複数社と話をしている」(広報)としている。日本のヤフーも「すでに(自社ブランドにカスタマイズしたIE7のリリースは)準備しており、正確な公開時期などは申し上げられないが、マイクロソフトから開発ソフトが提供され次第、公開する予定」と近々登場する見通しだ。
さらには、マイクロソフト広報によると、「こうした動き(他社ブランドにカスタマイズしたIE7の提供)は米国でも進めていることだ」という。つまり、世界規模のレベルで、有力サイトが自社ブランドでIE7の提供を早期に開始する可能性が高いというわけだ。
他社ブランドにカスタマイズしたブラウザの提供は、日本でもIEとGeckoのブラウザエンジンに対応したブラウザを展開しているLunascapeが、「Lunascapeファミリー」というかたちでビジネスにしている。
ただし、世界で圧倒的なブラウザシェアを誇るMicrosoftがこうした展開をするインパクトは大きいだろう。Microsoftが有力サイト各社と事実上の協力関係を持って展開すると、普及の速度が早まり、RSS配信の活用など次世代のマーケティング手法が一気に浸透することも考えられる。
別の見方をすれば、検索エンジンなど主要オンラインサービス、ツールなどでGoogleの攻勢を受けているだけに、Microsoftとしては、これまでオンラインサービスでは競合と見られてきたYahooなどの有力サイトとも、協力関係を持たざるを得ないことになっているともいえそうだ。
実際、米Microsoftでプラットフォーム戦略を指揮するCharles Fitzgerald氏はCNET Japanのインタビューで、「Microsoftは共生と民主化の文化を内在する企業だ」と語り、今後はあらゆる方面で競合企業とも共生していく必要性があることを強調している。
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