テレビ版ナップスター?中国発「TVUPlayer」、番組のネット再配信で人気に - (page 2)

文:Greg Sandoval(CNET News.com) 翻訳校正:大熊あつ子、緒方亮、長谷睦2006年10月27日 22時09分

 さらに重要なのが、TVU Networksでは通常のテレビと同じくらい手軽に、オンライン番組が視聴できる点だ。TVUPlayerをダウンロードすると、およそ40から50のチャンネルを擁するメニューが表示される。記事の執筆時点では、Comedy CentralやAnimal Planetのほか、インドのCNBCなどの番組が楽しめた。

 同社のウェブサイト「TVUNetworks.com」には、次のような記述があった。「世界中どこにいても、視聴料を払って有料チャンネルやペイパービュー方式のイベントを観るのと同じように、ライブチャンネルを無料で視聴できる。TVU Networksは、地域のケーブル会社や衛星放送では見られない世界中の番組を提供する」

 TVUPlayerの人気を伝えている複数のブログは、サービスの合法性について疑問を投げかけている。比較的初期には、TVUは各放送局のコマーシャルをそのまま放送しているので、TVU Networksは法律上のグレーゾーンで運営しているとの記述もあった。

 しかし、違法性は一目瞭然だとする弁護士もいる。

 ロサンゼルスのManatt, Phelps & Phillips法律事務所で著作権を扱う弁護士Mark Litvack氏は、「どこがグレーゾーンなのだ? 法廷はすでに、こうした行為は非合法だとの判断を下している」と述べている。

 Litvack氏は、カナダのiCraveTVに対して2000年に米国の地方裁判所が下した判決を引用し、ABCやNBC、CBSなどの放送電波を受信してウェブ上で再配信していた件が、著作権法違反と判断されたことを強調した。iCraveTVは廃業を余儀なくされた。

 Litvack氏によると、iCraveTVの判例は、再配信にコマーシャルも含めているか否かは問題ではないことを示すものだという。サイトの運営形態が合法か否かを決める最も重要な要素は、コンテンツ所有者から配信の許可を得ているかどうかという点だ。

 そうだとしても、TVU Networksの事業の違法性が判明した場合、映画業界は同社を追及する手を中国まで伸ばさなければならず、一苦労することになるかもしれない。過去の例を見る限り、中国の著作権保護に対する姿勢にはぶれがあるからだ。

 興味深いことに、TVU Networksのような法の限界ぎりぎりに挑む企業の登場で、より名の通った動画共有サイトと映画業界との間の緊張が増すのではなく、逆に両者が歩み寄りを見せる可能性もあると、Yankee GroupのアナリストJosh Martin氏は指摘している。

 「このサイトを閉鎖しても、また別のサイトが現れる。この現象はエンターテインメント業界に対し、合法的にコンテンツにアクセスできる機会を消費者に提供する必要があることを示している。ほとんどの人は、ダウンロード1件につき1.99ドルぐらいは支払うだろうし、コマーシャルも見るだろう。消費者が求めているのは、そうしたことができる機会だ」(Martin氏)

 ここ数週間のうちに、動画共有サイトとメディア企業の間で多くの提携が結ばれている。YouTubeは米国時間10月9日、Universal Music Group、ソニーBMGミュージックエンタテインメント、CBSとの提携を発表した。この提携により、これらのレコード会社に所属するアーティストの楽曲やビデオが、YouTubeのサイトに投稿可能になる。また、ソニーは8月にビデオ共有サイトのGrouperを6500万ドルで買収したほか、Warner Bros. Entertainmentは、動画共有サイトのGuba、ファイル共有システムのBitTorrentと契約を結び、同社の映画の配信を許可している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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