人気テレビ番組の動画をウェブ上でストリーミング配信する「TVUPlayer」が、世界中で熱心な支持者を集め始めている。開発元である中国企業のTVU networksは、これを「ピア・ツー・ピア(PtoP)」サービスだと説明している。
しかし同サービスは、著作権侵害に目を光らせているハリウッドのやり手弁護士にとって、格好の標的になる可能性もある。
実際、一部では、PtoPサービスだった初期のNapsterと同じように、TVUPlayerも訴訟の対象になるのではないかという見方がある。「非常に大規模な著作権侵害」とも評されたNapsterは、訴訟の機会をうかがっている弁護士にとっては、お菓子が詰まったつぼのようにおいしい存在となった。
TVUPlayerが配信するテレビ番組には、ABC、HBO、Disney Channel、THE COMEDY CHANNEL、Aljazeera、イタリアのスポーツ局Telecaprisportなど、米国内外の有料放送番組も含まれている。
人気を博した理由は一目でわかる。番組の選択肢が多いことに加え、TVUPlayerの映像は多くの場合、途切れ途切れで画質も粗いことが多い通常のストリーミング動画よりも鮮明だ。なお、TVUPlayerには、ユーザーが独自の動画をアップロードする機能はない。
しかし、著作権の専門家の意見によると、配信するコンテンツの使用許可をTVU networksの幹部が得ていない限り、同社による番組の中継放送は合法とは認められないという。また、自らのコンテンツをTVUPlayer上で配信されている3団体の関係者は、TVU networksとは一切契約していないと話してる。
National Basketball Association(NBA)の広報担当者Matt Bourne氏は、TVU networksが協会の許可を得ずにNBAのテレビ番組を配信していると述べた。
「われわれは、このサイトの存在を認識している。現在、適切な措置をとるために複数の選択肢を検討しているところだ。その中には、他のコンテンツ保有者との話し合いも含まれる」(Bourne氏)
また、Disneyの広報担当者Karen Hobson氏は、TVU networksにコンテンツをストリーミング配信する権限を与えているかとの質問に、「Disney Channelの番組を入手できるのは、『iTunes』(でのダウンロード)か、当社のサイトだけだ」と答えた。
HBOの広報担当も、HBOの番組は合法的な形ではウェブには一切提供されていないと述べた。
上海に拠点を置くTVU Networksの詳細は知られていない。同社は取材の申し込みに応じなかった。同社はウェブ動画事業で収入を得ようとする数多くの新興企業のうちの1つだ。この業界は、動画共有で一大現象を巻き起こしたYouTubeをGoogleが16億5000万ドルで買収すると発表したことから、成長が確実な分野と見られている。しかし、それと同時に、オンライン動画、特に動画共有分野には、常に著作権の問題がつきまとう。最近では、YouTube、Grouper、Bolt.comの3サービスはすべて、著作権違反で訴訟の対象となっている。
TVUPlayerが米国で注目を集めたきっかけは、ドイツで開かれた2006 FIFA World Cupだったとみられる。米国では、国内のテレビ局で放送されない試合を見るために数多くのサッカーファンが同社のソフトウェアをダウンロードした。
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