Wikipediaは、新技術に対するいくつかの懸念への対策に乗り出した、一方、他の複数の百科事典プロジェクトは、学術情報に対する需要を満たそうと努めてきた。例えば、Digital Universeは2006年に入ってから専門家が管理する百科事典プロジェクトとして発足された。Sanger氏はこのプロジェクトの立ち上げにも協力した。同プロジェクトの最初の取り組みであるEncyclopedia of Earthと呼ばれるサイトには、世界中から集まったボランティアの環境専門家らが執筆、審査した400件の記事が掲載されている。
Sanger氏は、Digital Universeプロジェクトをしばらく休んでCitizendiumを立ち上げるが、CitizendiumではDigital Universeとは異なるアプローチを取る。Sanger氏は、CitizendiumもWikipediaと同様にユーザーの参加によって進化するサービスにしたいと考えている。Citizendiumは、Wikipediaのオープンソースコードから「分岐」することになる。つまり、Citizendiumは(Wikipediaから)既存の記事データベースを複製し、ユーザーの参加を通じて、新しい独自の百科事典へと進化する。
しかし、Wikipediaとは異なり、Citizendiumでは常勤のボランティア編集者と「保安員」つまり、ユーザーにコミュニティーのルールを守らせる管理人を置く。基本的に、Citizendiumでは、代表共和制で政教分離を監視する、とSanger氏は語る。
「これらのいわゆる『保安員』たちは、Wikipediaにおける管理者と同様の役割を果たすが、彼らは記事がどのように書かれるかに関する決定権は持たない。また編集者は、コンテンツについて決定を下す責任を負うが、彼らには人々のアクセスを禁止することはできない」(Sanger氏)
Citizendiumは、あらゆるテーマに関する記事の執筆、監修を依頼できる各分野の専門家を募っている。CitizendiumとWikipediaのもう1つの相違点は、Citizendiumでは、実名でメンバー登録しなければWikiに投稿できない点だ。このシステムには、いたずらや不正行為の予防効果も期待できる、とSanger氏は語る。
「世界中の人々を招待し、専門家たちの優しい指導の下で互いに協力し合おうというのが(Citizendiumの)発想だ」(Sanger氏)
この件について、Wikipediaの関係者にコメントを求めたが、早急な回答は得られなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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