無料のオンライン百科事典Wikipediaに最も近い批評家であり、また同サイトの共同設立者でもある人物が今週、Wikipediaに代わる新たな百科事典サイトを開設する。
Wikipediaの共同設立者であるLarry Sanger氏は、Citizendiumと呼ばれるWikipediaのスピンオフ(サイト)を開設するとしている。このCitizendiumでは、誰でも自由に投稿可能なWikipediaとは異なり、ユーザーが投稿した記事を管理するため、ユーザー登録を要求し、さらに編集規制も実施する。ただSanger氏によると、Citizendiumでは規制を「緩め」にし、いわゆるトロール(荒らし)らによるわいせつな書き込みや偏った内容の書き込みを自然に排除していくという。
Sanger氏は、「Wikipediaは素晴らしい。同サイトは広く、深く成長しており、(誰でも自由に書き込み可能な)現行のシステムを考えると記事の内容も非常に素晴らしい。私は単に、われわれはより上手くできると考えているにすぎない」と述べ、さらに「同システムは解決すべき数多くの問題を抱えており、これらの問題を解決することにより、より優れた巨大百科事典を完成させることができる」と語った。
Sanger氏によると、非営利サイトであるCitizendiumの招待制パイロット版は今週開設予定だが、より広範なリリースの予定は今のところないという。
Wikipediaは2001年に、Sanger氏とJimmy Wales氏が共同で設立し、それ以来、同サービスはウェブ上で最も人気の高いリサーチツールの1つとなった。また同サイトは、最も急成長を遂げているサイトの1つでもある。現在、229カ国で利用され、掲載項目数は200万件を超えている。調査会社のNielsen NetRatings によると、9月の同サイトのユニークビジター数(訪問者数)は3300万人を突破し、前年同期比162%増を記録したという。
しかし、人気急騰の裏で、いくつかのトラブルも発生している。2005年秋、Wikipedia に掲載されていたRobert F. Kennedyの元側近John Seigenthaler氏に関する項目に、同氏がKennedy氏の暗殺に関与したことを示唆する記述がなされていたことが発覚し、Wikipediaの記事の正確さに対する懸念が頂点に達した。また2006年8月には、コメディアンのStephen Colbert氏が、テレビの視聴者に対しWikipediaの掲載記事に無意味な編集を行うよう働きかけ、同サイトへの書き込みや編集を禁じられるという事件が発生した。
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