米国時間8月28日、オンラインコマース分野でしのぎを削り合っているインターネット大手のeBayとGoogleが、米国外のeBayサイトに表示される検索連動型テキスト広告で提携することを発表した。今後は2社で広告収入を分け合うことになる。また、インターネット音声通信技術を用いて広告主と消費者を結びつける「Click-to-Call」広告の開発でも、両社は協力していくという。
今回の複数年契約に関する金額面の条件は明らかにされなかったが、両社は2007年初頭には広告のテストを開始するとしている。
eBayの米国内サイトにおける広告パートナーはYahooである。Yahooは、eBayの北アメリカ地域のサイトで、スポンサードリンクを提供する独占的な権利を有しており、この度の提携ではそうした立場を追われた格好になった。eBayにとってこの三角関係は、GoogleとYahooのどちらが検索広告分野にすぐれているのかを見極めるための絶好のチャンスと言える。
Susquehanna Financial Groupの上級インターネットアナリストMarianne Wolk氏は、「eBayが選択を保留しているのは明らかだ」と指摘した。
本件は、近年ネットメディアの上層部で活発化している提携の最新例であり、Google、MicrosoftのMSN、Yahooの間で、パートナーの地位を獲得するための争いが激化している現状を浮き彫りにするものである。例えばGoogleはここ数カ月間で、Fox Interactive(MySpace)、Dell、Adobe Systems、Time Warner傘下のAOLと提携した。また、MSNはソーシャルネットワーク企業Facebookとパートナーシップを結び、Yahooは米国での広告をめぐり、eBayと提携した。
今回のeBayとGoogleの契約には、短期的な利益の追求よりも、長期的な戦略上の意義を意識している側面がある。
Googleは今回の提携の一環として、特定の検索に対しeBayが返した結果が不十分であった場合にのみ、eBayの検索結果ページにスポンサードリンクを提供することになる。これは重要なポイントだ。というのも、eBayは「eBayなら見つかる(Find it on eBay)」というキャッチフレーズの下、ほとんどの商品をサイト上で販売しているからである。その膨大な商品ラインアップをもってすれば、検索に対して不十分な結果しか返せないという事態が起こる可能性はきわめて低く、Googleの広告は長く出番待ちを強いられるだろうと、アナリストらは述べている。
例えば、「Led Zeppelin motorcross bike」や「antique kitty litter」といった難しい検索をしたとしても、eBayでは少なくとも1件は結果が返ってくる。明らかに違法な「stolen cars」などを検索しても、やはり結果が得られるのだ。
さらにeBayは、この度の契約が2006年もしくは2007年の財務に影響をおよぼすことはないと述べている。
eBayは、同社より大規模なライバル会社との関係を強化するとともに、自身のインターネット音声通信技術である「Skype」を普及させたいともくろんでいるようだ。Googleは「Google Talk」という独自の音声技術を提供しているものの、同契約においては、同社の検索ツールバーにSkypeをバンドルすることになるという。Wolk氏は、クリック電話広告の開発が進み、期待通りの結果が得られれば、数年以内に40〜50億ドル相当の広告収入が見込めると話した。
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