KDDIがGoogleと提携し、ドコモが携帯電話向け検索サービス9社との提携を発表。そしてボーダフォンはヤフーと提携するなど、モバイル検索市場に注目が集まっている。
そんな中、グリーは8月23日、第1回となる「エマージングビジネス勉強会」を開催。「サーチはモバイルをどう変えるのか? 〜 キープレイヤーに聞く、モバイル検索の未来」と題し、モバイル向け検索サービスを提供する3社を集めて今後のモバイル検索市場についてのディスカッションを行った。
まず、最初にグリーの田中良和代表取締役社長が挨拶にたち、「グリーはインターネットで革新的なサービスを提供していきたい。そのために最新のインターネット技術やサービス、ビジネスを研究している。この勉強会では新しいビジネスの可能性に取り組んでいる人たちをまねき、その情熱を受け取り、ビジネス領域での情報交換、人材交流を広げていきたい」と勉強会を開く目的を説明した。
続いてグリー事業開発担当の屋島新平氏より、モバイルビジネスの動向について説明があった。それによれば、現在日本におけるインターネットユーザーはトータル7361万人。その中でケータイをメインとしてインターネットを利用しているユーザーは2340万人と、ほぼ3分の1を占めている。2004年から2005年にかけて、モバイル広告は160%、モバイルコマースは157%との伸びを見せており、検索連動型の広告市場は76.2億円にも達している。ここにきてキャリア各社が検索サイトを公式メニューに加えたことから、今後はより一層ケータイでの検索が一般化するだろうと述べた。
屋島氏の報告後、パネラーが登場しパネルディスカッションが開始された。司会はグロービス・キャピタル・パートナーズの小林雅氏が務め、パネリストはウェブドゥジャパン メディアビジネス本部 取締役本部長の古瀬祥一氏、シーエー・モバイル 専務取締役の小野裕史氏、ビットレイティングス代表取締役の佐藤崇氏という顔ぶれ。ウェブドゥジャパンは「CROOZ!」、シーエー・モバイルは「SeafTyy」、ビットレイティングスは「F★ROUTE」と、いずれも有力モバイル検索エンジンを運営している。
検索エンジンを運営する会社にとってGoogleはそれほどの脅威になはなっていないようだ。フルブラウザを利用するなど、PC同様にモバイルを利用すれば、Googleに勝てないところもあるが、モバイルをメインに使うユーザーに対してはGoogleもまだまだ問題を抱えているのだという。
小林氏の「検索エンジンを運営している側として、Gooleをどう評価するか」という問いに対し、古瀬氏は「Googleは実用的な検索、調べ物には強いがエンターテイメント分野ではまだまだ弱い」と延べ、小野氏も「モバイルの著名サイトほど、PCからの検索ロボットをはじいてしまう。着メロなどの検索はほとんど使い物にならない。PCユーザーはモバイルユーザーが使うキーワードを理解できてないのでは。ユーザーがよく検索するような言葉は人力で検索し、登録しておいた方がいい」とPCとケータイとの違いを主張。佐藤氏も「絵文字と極端な省略表記をどうコンピュータに認識させるかが問題だ」とケータイ文化におけるGoogleの弱点を指摘した。
ではモバイル検索のプレーヤー達が、Google以上の脅威を感じるのはどんな企業なのだろうか。「ライバル、あるいは注目している企業はどこか」という小林氏の質問については、小野氏は「ソフトバンク・ヤフー連合」と語る。端末に「ヤフーボタン」をつけるとも語り、サービス連携をアピールするソフトバンクだが、「キャリアと膨大な情報量を持つ検索サイトが手を握るのは脅威」だという。その一方で佐藤氏は「一番のライバルはR25モバイル。検索を強化したら怖い」と語る。メディアとしての価値や編集力に点に注目しているという。
ここでグリーの田中社長から「PCの検索サイトもだんだん淘汰され、世界的にはGoogle、ヤフー、MSNなど数社になってしまった。今後、ケータイ検索サイトはどれだけが生き残れるだろうか」というシビアな質問が投げられた。佐藤氏は「まずはiメニューの上位5社に残れないと持たない」と語った。ドコモのiMenuの検索結果で1ページ目に表示される提携検索サービスは5サイトのみとなっており、そこに表示されるかどうかが重要な問題になるという。
一方小野氏は「検索メニューの上位に残ることも大事だが、マネタイズも大事。たとえエンジンで負けても総合力で勝負する」と自社の検索連動型広告配信システムKEITAI Premium Searchを武器として企業全体で生き延びる戦略を主張した。古瀬氏も「直近では分からないが、5社も残らないのではないか」と語り、モバイル検索業界の競争激化を示唆した。
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