「(ユーザーに必要な)最後のFM局」という名を持つ音楽サービスが、ついに日本に上陸した。ユーザーに新しい音楽との出会いを提供するというコンセプトを武器に、レコードレーベルを巻き込んでサービスを展開する考えだ。
エキサイトは7月25日、英Last.fmと協力し、音楽コミュニティサイト「Last.fm」の日本語版を開始した。ユーザーがPC上で再生した楽曲を自動的に学習し、似た楽曲や同じような趣味を持つユーザーを紹介する。
Last.fmは英国で2003年に始まったサービス。現在世界中で約200万人の会員がおり、月間ページビューは1億PVにのぼる。Last.fmでは1日に約1000万の楽曲が再生されているという。
日本語版のLast.fmは、英語版をエキサイトが日本向けにアレンジしたものだ。基本機能は変わらないが、エキサイトのオンライン名刺サービス「エキサイトネームカード」などと連携している点が異なる。
Last.fmは、iTunesやWindows Media Playerなどの音楽再生ソフトに専用のプラグインをインストールすることで楽曲の履歴データを蓄積し、そのデータを元にユーザーの音楽ランキングや似た楽曲の推薦などをする。
また、ユーザー同士がコミュニケーションを取れるメッセージ機能や、グループ作成機能などもあり、好きな音楽を通じてコミュニティを形成することも可能としている。
Last.fmを開始した狙いについて、エキサイトエンタテインメント事業部音楽サービス部部長の郡司芳人氏は、「2年前にExcite Music Storeで楽曲のダウンロード販売を開始し、サブスクリプションサービス(月額課金の聞き放題サービス)を開始しないのか、という声が上がっていた。しかし、ユーザーが膨大な量の中から楽曲を選ぶ手段がなければ、面白いことは起こらない。楽曲を推薦する仕組みとして、Last.fmに着目した」と説明。ちょうど英Last.fmの幹部も世界第2位の市場を持つ日本に注目していたため、話がスムーズに進んだのだという。
英語版では、ユーザーが好きな楽曲を無料で楽しめるラジオサービスも展開している。7月25日時点で、日本語版にはこの機能はない。エキサイトは今後レコードレーベルと話し合いをすすめ、秋にもサービスを開始したい考えだ。「必ずしも売れ筋の楽曲が全部そろうわけではないが、Excite Music Storeを開始した時に比べれば、サービスへのハードルは低くなっている」と自信を見せた。
アカウントは英語版Last.fmのIDだけでなく、エキサイトIDも利用可能となっている。また、エキサイトネームカード上では、ユーザーが最近再生した楽曲リストを表示するほか、訪れたユーザーとの音楽趣味についての相性度を表示する機能も搭載した。
主な収益源は音楽CD販売のアフィリエイト、月額350円の有料サービスの提供、バナー広告の3つ。有料サービスでは広告を非表示にするなどの機能がある。今後はエキサイトの楽曲ダウンロードサービスへの誘導や、コンサートチケットの販売などを予定している。また、携帯電話や携帯型オーディオプレーヤーへの対応も検討しているとのことだ。
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