米司法長官のAlberto Gonzales氏とFBI長官のRobert Mueller氏が米国時間5月26日に開かれた会議の中で、電気通信業界関係者らに対し、顧客のインターネット活動を記録するよう促していたことが、CNET News.comの取材で明らかになった。
事情に詳しい2人の情報筋が匿名を条件に語ったところによると、Gonzales、Muellerの両氏と他の司法省幹部らは、26日に開かれた電気通信業界関係者との非公開会議の中で、インターネットサービスプロバイダ(ISP)は加入者の情報やネットワークデータを2年間保持すべきだと発言したという。
司法省で行われたその非公開会議は、Gonzales氏の要請で実現した。前述の情報筋によると、同会議が行われた背景には、ISPに対しデータ保存を法的に義務付ける構想への支持が連邦議会やBush政権内で高まっているという事情があるという。多くの場合、過去ログはISPの日常業務の中で削除されてしまうことから、過去ログの保存を義務付ける構想は、例えば児童ポルノ提供者を訴追する上で役立つ、と同構想の支持者らは主張する。
Gonzales氏は4月に全米行方不明・被搾取児童センター(National Center for Missing and Exploited Children:NCMEC)で行った講演の中で、ISPは「十分な期間」記録を保存しなければならない、と発言した。
また同氏は、「私は、大手ISPのCEOや他の業界の指導者らと個別に面会するつもりだ」と述べ、さらに「ISPがいかにして米国民の正当なプライバシー権を侵害せずに記録を保存するかという問題にも取り組まなくてはならない」と語った。
Gonzales氏がこのような発言を行う以前は、Bush政権はデータ保存の法的義務付けについて「大いに疑問がある」とし、概ね批判的だった。しかし、2005年12月に欧州議会で、インターネット、電話、VoIPの各サービスのプロバイダーに対し記録保存を法的に義務付ける案が可決されてからは、米政府高官たちから同構想についてより好意的な意見が聞かれるようになった。
前述の情報筋によると、26日の会議では、警察が阻止しようとしている児童ポルノ犯罪の衝撃的な実態を明らかにするため、司法省の関係者らの間でモザイクの入った複数の児童ポルノ写真が回覧されたという。
ある司法省の関係者によると、データ保存に関するBush政権の立場に詳しい同省の広報担当者が26日の会議に出席していたが、同氏からコメントは取れなかったという。
プライバシー擁護派は、データ保存を法的に強制するという考えについて懸念を示し、現在では児童労働搾取問題がその理由となっているが、テロ、脱税、薬物、さらには離婚訴訟を含むすべての刑事および民事訴訟に、保存されたデータは利用される可能性があると述べている。
Gonzales、Muellerの両氏が要請するネットワークデータの保存が何を意味しているかは、明らかになっていない。ひとつには、インターネットプロバイダーがユーザーに割り当てるインターネットアドレスを記録するよう要求する可能性がある。さらに広範囲な命令としては、送信された電子メールや閲覧されたウェブページ、そして恐らくインスタントメッセージング(IM)のやり取りさえもトラッキングするよう要求する可能性がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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