英国「電子メール爆弾」訴訟:無罪判決を差し戻し、再審へ

文:David Meyer(ZDNet UK) 翻訳校正:矢倉美登里、高森郁哉2006年05月12日 22時17分

 元雇い主に大量のメールを送りつけたとして、英国の10代の若者がハッキング防止を目的とした同国法に違反した罪に問われている裁判で、一審の無罪判決が上級裁判所により差し戻された。

 被告のDavid Lennonという氏名は、これまで法律上の理由から未公表だったが、現在は18歳になっているため、初めて公表された。Lennon被告は2004年初めに、「Avalanche」という大量メール送信プログラムを使って元雇い主のDomestic & General Group約500万通のメッセージを送信したとされている。送信された膨大な数のメールにより、同社の電子メールサーバはクラッシュした。

 コンピュータ不正使用法(Computer Misuse Act:CMA)に違反しているとしてLennon被告に対して起こされた最初の訴えは、2005年11月、ロンドンのウィンブルドン下級裁判所のKenneth Grant地裁判事によって無罪判決が下された。その際、Grant判事は、不正なデータ修正に関するCMA第3条には違反していないとの判断を下した。電子メールを受信するよう設定されているサーバに送られた電子メールは、不正に修正されたとは言えないという理由からだった。

 だが、ロンドンの王立裁判所のJack判事は現地時間5月11日、Grant判事が「犯罪にはあたらないとしたのは正しくなかった」として、ウィンブルドン下級裁判所にこの件を差し戻した。

 Jack判事は、大量メール送信を開始する前にメッセージについてDomestic & General Groupに訊ねていたら、どんな回答が返ってくるとLennon被告が予想していたかを、Grant判事は考慮すべきだと述べた。

 一審の判決を不服として控訴した英国の公訴局は、11日の裁定に満足していると述べた。「われわれは、法律の要点をはっきりさせ、CMAの解釈を新しいものにして現代のハイテク犯罪に対処できるようにしたかった。技術はかつてないほど速いペースで進歩しているので、CMAについてはときどき新しい解釈をする必要があるかもしれない」と、公訴局は声明文の中で述べている。

 「警察と公訴局は断固として、犯罪にインターネットを使用する者に法の手が届くようにし、インターネットを法人ユーザーにとっても一般ユーザーにとっても安全な場にするつもりだ」(公訴局)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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