論議を呼んでいるインターネット赤線地帯の創設計画が、米上院に提出された新法案の下で復活する可能性が出てきた。
米国時間16日、Mark Pryor上院議員(アーカンソー州選出、民主党)とMax Baucus上院議員(モンタナ州選出、民主党)が、「Cyber Safety for Kids Act of 2006」と呼ばれる法案を提出した。11ページに及ぶ同法案は、米商務省に対し、ドメイン名の管理/監督を行う非営利組織Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)と連携して、「未成年者に有害」と思われるコンテンツ専用の領域の創設を目的とした新たなドメイン名システムの構築計画を策定するよう求めている。
同法案によると、「未成年者に有害と思われるコンテンツ」には、全ての「通信」、画像、記事、記録、その他のわいせつ物が含まれる。「その他のわいせつ物」の例としては、実際の、あるいは擬似的な性行為や「性器や成人女性の乳房の露骨な表示」などが挙げられている。
Pryorは、「われわれの法案は、ポルノをそれ専用のドメインで囲い込むことにより、子供たちがアクセスできない領域を親が設定できるようにすることを目的としている」と述べた。同氏は、インターネットポルノ制作者に25%の税金を課す法案も提出している。
同法案では、ドメイン名の末尾に「.xxx」を付することについて、提案してはいるが義務付けてはいない。「未成年者に有害なコンテンツの提供/配布を第一の、あるいは主要な事業としている」全ての商用サイトやオンラインサービスは、管理するサイトをそのドメインに移行させるよう義務付けられる。また、それらの要請に従わない場合は、商務省の決定に従って民事罰が課される。
しかし、同法案が立法化されるか否かは不透明だ。アメリカ自由人権協会(American Civil Liberties Union:ACLU)の法律顧問を務めるMarv Johnsonによると、同法案は違憲との理由で廃案になる可能性もあるという。
Johnsonは、CNET News.comに宛てた電子メールのなかで、これまで複数の裁判所が、「(言論を制限する規制は)政府の切実な関心を満たすものであると同時に、切迫した需要を満たすための、対象が限定された最も侵害的でない手段でなくてはならない」との判断を下してきたと述べている。さらに、最高裁も児童の保護は切実な関心事であるとの判断を下したが、ソフトウェアのフィルタリングや遮断といった、同じ目的を達成するための「より侵害的でない」手段が多数存在することから、恐らく同法は無効だろう、とJohnsonは指摘した。
さらに重要なのは、仮想赤線地帯の創設が政治家らの目的とは全く逆の効果を生む可能性があるということだ、と同氏は主張する。「このようなドメインの創設は、未成年者らがポルノを発見しやすいように、ポルノがある場所に点滅するネオンサインを設置するようなものだ。」(Johnson)
最近、.xxxドメインの創設を目的とした複数の法案が提出されたが、保守的な家族グループとポルノ業界というまさに水と油のような関係の二つの団体からの反発に阻まれ、いずれも立法化には至っていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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