Apple Computerは米国時間10日に高い人気を誇る「iTunes」の新バージョン(6.0.2)をリリースしたが、この新バージョンにユーザーのプレイリストに関する情報をAppleに送信する機能が含まれていることが判明し、プライバシー擁護者から非難を浴びている。
iTunesの新バージョンには新たに「MiniStore」ウインドウが追加された。このなかには、ユーザーが自分のプレイリストのなかにある楽曲を選択すると、iTunes Music Store(iTMS)で販売するお奨めの楽曲へのリンクが表示される。
このリンクを表示するために、iTunesソフトウェアは選択された楽曲のアーチスト名やタイトル、ジャンルなどの情報をAppleに送信するようになっている。だが、同時にユーザーのiTunesアカウントIDと関連づけられる一連のデータも送信されていることを、コンピュータ関連の専門家が発見した。
通常、iTunesのユーザーはiTMSへの登録時に自分の電子メールアドレスとクレジットカード情報を提供しているため、ユーザーのアカウントID番号からこれらの個人情報や購入履歴を割り出すことも理論上は可能だと、Macintosh関連で複数の著書があるKirk McElhearnは述べている。また、このID番号は「Apple Developer Connection」や「.Mac」オンラインサービスのアカウントなど、他のApple製品購入にも使われていると、同氏は付け加えた。
「私はAppleのユーザーだし、Appleを支持しているが、同社がこのようなことをするとは思わなかった。もしこれがMicrosoftやRealNetworksだったら、騒ぎ立てて、即時中止を求めているだろう」とMcElhearnは言う。同氏はこの問題に関する詳細を自身のウェブサイトで公開した。
この件について、Apple関係者は「Appleでは、MiniStoreの推薦曲リスト作成に使った情報の保存や保管は一切行っていない」とする声明を発表している。
この新機能はWindows版のiTunesにも搭載されている。だが、この問題は特にMacユーザーの注意を引いているようだ。Macユーザーは一般的に、Windowsの世界でよく見られる広告表示用(アドウェア)プログラムを目にした経験があまりない。Windowsではアドウェアによるプライバシー問題が頻繁に発生している。
実際、1999年にはRealNetworksが、「Global Unique Identifying Number」を組み込んだ「RealJukebox」をリリースしたとして訴えられている。同社はプライバシーポリシーのなかで同機能の存在を明らかにしないまま、この番号を使って個々のユーザーを特定していた。RealNetworksは、「役に立つパーソナルサービス」を提供するためにこの識別機能を搭載したと述べていたが、訴訟や顧客からの批判を受け、後にこの機能を削除した。
同12日午前の時点で、iTunesと一緒に配布されているライセンス契約には、楽曲情報やユーザーの個人アカウントに関するデータのやりとりの記述は見られない。同ソフトウェアに付属する情報のなかには、新バージョンの6.0.2は「安定性とパフォーマンスが向上した」と書かれているが、MiniStoreの追加については言及がない。
Appleは自社のウェブサイトに掲載した情報のなかで、MiniStoreの機能を説明している。それによると、iTunesのなかで選択した楽曲に関するデータは、iTMSに送信されて、関連するお奨め曲の提供に使われているという。この情報のなかには、MiniStoreの機能を無効にし、データが送られないようにするための方法も記されている。
なお、Appleはこの情報のなかではユーザーの身元を特定する個人情報の転送について言及していない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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