カナダの連邦裁判所判事は3月31日(現地時間)、著作権のある作品をピアツーピア(PtoP)ネットワーク上で共有することは、カナダでは合法であるとの判決を下した。ファイル交換利用者との間で国際的な戦いを繰り広げているレコード業界にとって、この判決は大きな痛手となる。
米国では全米レコード協会(RIAA)が、現在までに1500人以上のファイル交換利用者を提訴しているが、これと同様にカナダの各レコード会社でも、ファイル交換を利用した疑いのある29人の個人を著作権侵害で提訴する準備として、これらの人物の身元を特定するために裁判所の承認を求めていた。
しかし、判事はこの要請を棄却した。さらに同法廷は、多岐にわたる判決のなかで、ネットから音楽ファイルをダウンロードすることも、またこれをオンライン上の共有フォルダに入れて他人がアクセスできるようにしておくことも、カナダでは合法だと考えられると述べている。
オタワ大学法学部教授で、カナダの著作権問題に詳しいMichael Geistは、「レコード業界は現在一連の訴訟を進めているが、今回の判断は確実にその妨げとなるものだ。同時にこれが、そもそもファイル共有が著作権侵害にあたるのどうかについても疑問を投げかけている」と語った。
今回訴訟を起こしたカナダレコード協会(CRIA)は、今回の判決には納得できないと述べている。
CRIAの法律顧問、Richard Pfohlは声明の中で、「予審法廷から本日送られてきた判断の内容について現在検討を加えているところだが、おそらく控訴することになると思う」と述べ、さらに「我々の見解では、膨大な数の音楽ファイルをインターネット上で公開し、見ず知らずの大勢の人間がこれをコピー・転送・配信できるようにすることは、カナダの著作権法では許されていない」と付け加えた。
今回の判決が効力を持つのはカナダ国内だけだが、もしこれが認められれば、広範囲に影響が及ぶ可能性もある。米国のRIAAは、KazaaやMorpheusなどのPtoPネットワークからのダウンロードを減らそうと、ファイル交換利用者に対する数多くの訴訟を起こしている。
だが、今週発表されたハーバード大学とノースカロライナ大学の研究者による調査をはじめとして、これまで数多くの調査では、PtoPネットワークの利用者にとっては国の違いはほとんど関係がないことが指摘されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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