Encyclopedia Britannicaが、オンライン版のライバルであるWikipediaと正確さを競った議論を再燃させてきた。
由緒ある百科事典を出版する同社は先週、Nature誌の12月号の記事に対する 20ページにおよぶ痛烈な反証を公表した。当該記事は、 BritannicaとWikipediaの誤記を列挙し、Wikipediaが互角の戦いを演じているとするものだった。調査を行った専門家らは、事実に関する誤記、脱落、あるいは誤解を招く文章を、Wikipediaからは162カ所、Britannicaからは123カ所見つけだした。
この記事は、Wikipediaの内容と手法を検証するものであるとして広範囲に受け入れられた。その一方で、Britannica百科事典はインターネットによって絶滅の危機に追い込まれた。
Britannicaは、Nature誌が比較に用いた手法と、読者に対する評価の見せ方の両方を非難し、反論した。さらに、同社は訂正文の掲載も要求している。
Britannicaによると、Nature誌は、編集や改訂が繰り返されたBritannicaの省略版の項目を校閲者に渡し、百科事典の本文とは無関係のサンプルまでこれに含めたという。Britannicaはまた、多くの調査結果は科学的に見ても、事実としても誤りだとし、Nature誌の編集者は校閲者が見つけた間違いの検証を怠った、とも非難している。
たとえば、ある校閲者はNature誌の記事で、Subrahmanyan Chandrasekhar氏の「Principles of Stellar Dynamics」が出版されたのは、Britannicaにあるように1942年ではなく、1943年だとした。だがBritannicaは、米議会図書館が主情報源であることを指摘し、これに反論している。
Britannicaの編集長Dale Hoiberg氏は声明のなかで、「この研究は世界中で引用されており、指摘は間違っている。Britannicaに誤りが一切無いなどと主張したことはないが、Nature誌は、全く誤りではない部分をいくつも誤りだと指摘した。われわれは、高い学識と道理に適った判断に基づいて継続的に校閲を行い、信頼性の高い高品質の百科事典を出版している。Nature誌は、誤った分析と非難によって、われわれに甚大な損害を与えた」と述べた。
Nature誌の記事は、その信頼性が公に問題視されていたWikipediaにとって重要な時期に発表された。最も大きく非難されていたのがJohn Siegenthaler氏の項目で、そこには、ジャーナリストで元政府関係者の同氏を2件の暗殺事件に結びつける誤ったリンクが張られていた。
Britannicaなどの従来の百科事典では、閉じた編集システムの中で分野別の専門家が記事を執筆する。一方、Wikipediaの場合、インターネットへのアクセスが可能であれば、誰でもエントリーを作成し、編集できる。Wikipedia創設者Jimmy Walesはこれまで、同サイトの正確さは、その読者と寄稿者の自己規制を通して確保されていると主張してきた。
また、Wikipediaの利用は完全に無料でもある。Britannicaは、限定的な無料コンテンツや、全コンテンツの7日間無償利用を提供しているが、全コンテンツへの無制限なアクセスは月額11.95ドル、年額で69.95ドルである。Britannicaでは、これらの料金を必要とする理由として、学術的な信頼性や正確さへの評価の高さを挙げている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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