文句なら、Steve JobsかYouTube.comに言っていただきたい。
映像のオンライン配信サービスが急増している。これらのサービスでは、過去の忘れられているような作品から映画予告編に至るまで、あらゆるコンテンツが配信されている。この現象がインターネットサービスプロバイダ(ISP)のネットワークにとっての新たな負荷となり、ISP各社は自社の回線容量を急増させる必要性を感じている。
そして今、一部の新興企業(その一部には見慣れた顔の人もいる)が、ネットトラフィックの交通整理の役目を果たそうと身を乗り出してきた。自分たちなら、映像トラフィックの急増をうまく管理し、ネットワークを健全な状態に保つことができるというのだ。
「今のシナリオのままでは全員が損をする」と言うのは、Hewlett-Packardの元幹部のMichel Billardだ。同氏は現在、インターネットビデオ技術を扱う新興企業ITIVA DIGITAL MEDIAのプレジデントを務めている。「必要なのは一定時間内に処理できる情報量を拡大する方法だ」(Billard)
これは専門的な問題ではない。これらの新興企業が約束を果たすことが出来るかどうかが、インターネットだけでなく、消費者の経済状況にも影響を与えかねないという話だ。
数億ドル相当のビジネスコンテンツや娯楽コンテンツが現在、ISPの運営する一般的なネットワーク上を流れている。ネットワークの混雑による影響を受けやすいインターネット通話もますます一般化している。深刻なオンライン障害が起きれば、これがロサンゼルスの交通渋滞のようにストレスの原因となることも考えられるし、経済的被害を生む可能性もある。
ネットワークインフラストラクチャを扱うCacheLogicによると、既に、インターネットトラフィックの60%以上がPtoPによるファイル交換に占領されており、うち60%が映像コンテンツの交換に使われていると言う。これに加えて、Apple ComputerやMovieLink、Google Videoなどの企業による合法的なコンテンツ配信も、その量を増しており、消費者の映像コンテンツに対する需要も生まれ始めている。
AT&Tなどの大手ISP各社は、GoogleやYahooのような企業に追加サービス料金を課金できるようにするべきだと主張し、コンテンツがユーザーに確実かつ迅速に届くようにすべきだと述べている。その一方でウェブ関連企業と市民の自由を主張する人たちは、ほかのコンテンツを「低速レーン」に追いやったり費用を消費者に押し付けたりしない「ネットワークの中立性」を求めている。
回線の処理能力の制約を解消する技術があれば、それがどんなものでも、この論争を鎮めることができる。
「外部プロバイダが発信するコンテンツが自分たちのネットワークコストを上げることについてのISP各社の意見は、ますます厳しくなってきている」とJupiter ResearchのアナリストJoe Laszloは言う。「しかし、合法的な映像配信がISPネットワークを圧迫する量に達しようとしていることを示す確かなデータは見たことがない」と同氏は述べる。
さまざまなネットワーク問題の場合と同様、映像のウェブ配信の問題点は、同じ回線の中を一度に通そうとする情報量が多すぎることだ。
1990年代末、音声や映像のオンラインストリーミングが初めて行われたときにも、ウェブコンテンツ企業はよく似た問題に直面していた。例えば、数十万人の人が同時にVictoria's Secretのファッションショーを見ようとすれば、そのストリーム映像を保存していたサーバがパンクしたのである。
こういったトラフィックの問題は大幅に改善された。Akamai Technologiesなどが、世界中のISPネットワークの中に数千ものサーバを置き、コンテンツ検索中のユーザーがメインホストに一度に押し寄せるのではなく、ローカルサーバから情報を入手できるようにしたことが功を奏したのである。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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