2006年4月からサービスが開始される、地上デジタル波を利用した携帯端末向け動画配信「ワンセグ」。モバイルコンテンツでユーザー期待を集める動画配信を、「宝の山」と注目しているのは携帯電話業界だけではなく、放送業界も同じだ。11月30日に秋葉原コンベンションホールにて開催された「mobidec 2005」のセッションで、TBSのモバイルサービスと「ワンセグ」への対応、および放送業界と通信業界の今後について、東京放送(TBS)モバイル&ネットセンター担当部長の成合由香氏が語った。
TBSの携帯電話向けコンテンツ「TBSモバイル」ではニュースや天気予報など情報系の無料コンテンツとともに、占いやゲームなどの有料コンテンツを提供している。これらに加え、番組と連動したコンテンツも重視している。テレビを見ながらメールチェックをするなど、携帯電話はテレビ視聴中でも使える身近なアイテムだからだ。番組中の告知によって商品購入ページなどに誘導する、効果的な導線になると考えている。
この構想は、9月28日から10月9日までTBSが実施した「テレモる!ウィーク」というイベントでも取り組まれている。テレビ番組のクイズやゲームに視聴者が携帯電話で参加し、商品や賞金を獲得していく企画で、ビンゴゲーム番組の「東京ビンゴナイト」には3日間で68万人の参加があった。ユーザーからの好評を得、テレビ番組と携帯の連動に確かな手ごたえを感じているという。
今後の展開としては「携帯をもってテレビを見よう!」というキーワードを打ち立て、TBSモバイルのコンテンツを増やしていくという。また、ワンセグへのアプローチとして、モバイルの特性を生かしたコンテンツ開発も進めていく。地上波番組とは別に、待ち合わせや移動中などの短時間でも楽しめるドラマやバラエティといった動画コンテンツへの需要が高いとみている。携帯電話事業者と連携して配信を目指すとともに、地上波の連続ドラマとタイアップした番組の配信も目指しているという。
成合氏はモバイル市場の注目キーワードとなっている「放送と通信の融合」を「放送と通信の連携」と置き換えた。放送業界と通信業界が担う役割の違いから、双方の垣根が曖昧になっていくのではなく、互いがそれぞれの分野で持つ強みを出し合ってマーケットを築いていくだろうと結び、放送業界としての姿勢を示した。
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