11月24日、東京都内にて、ブロードバンド推進協議会のオンラインゲーム専門部会第7回研究会「動き出すオンラインゲームファンドの実態と可能性」が開催された。
ガンホー・オンラインエンターテイメントの代表取締役会長である孫泰蔵氏とTMI総合法律事務所の水戸重之弁護士による2つの講演のほか、MUハンズオンキャピタル投資事業本部の三好大介氏、モビーダ・インベストメントの代表取締役社長の三木雄信氏に水戸弁護士を交え、オンラインゲームの開発運営に関わるファンドの将来の展望や契約スキーム、注意すべき点などについてのパネルディスカッションが行われた。
当日はゲーム開発会社や関連事業者から約170名の参加があり、オンラインゲームファンドへの関心の高まりがうかがえた。ここでは孫氏と水戸氏の講演について紹介する。
コンテンツビジネスは啓蒙活動期である
ブロードバンド関連市場の変化として、2000年のITバブル期が過ぎ、現在は「メディアビッグバン」が起きていると孫氏は指摘した。情報革命進行中の不確実な環境下におけるマーケットトレンドは、想像を超える大ブレイクをすることがある。しかし、そこに行き着くまでのビジネスチャンスは、なかなか巡ってこない。思うように波に乗れないこの状態を、孫氏は「がっかり段階」と唱える。けれども、ここで参入をやめてしまうと、後にブレイクを果たした企業に追い付けない。孫氏は「がっかり段階」であきらめて「手遅れ段階」へと進んでしまう前に、意識的に動くことの重要性を説き、楽天、ライブドアなどの例を挙げて次のように語った。
「アイデアを練りながらチャレンジするには良い時期だ。ITバブルといわれた2000年以来、2つめのビッグウェーブが来ているのだから」
ブロードバンドを前提とした新ビジネスの必要性
2000年にはテレビとネットは別世界であったが、インターネットのブロードバンド化によって昨今ではメディアの統合が始まっている。これまでのテレビのような規制の枠が崩壊し、ネットはローカルからグローバルへと変化を遂げている。テレビCMや新聞、雑誌からネットへ導き、メディアの特性に合わせて消費者の購買意欲をいかにして高めるか、いかにしてコンテンツを広く見てもらうかがビジネスチャンスを得るキーポイントだと孫氏は述べていた。
「映像や音の導入によって、ネットは今、知性から感性のものへとシフトしている。オンラインショップはこれまで自動販売機のような存在だった。しかしこれからは映像、音声によってネット上で店頭のやりとりを再現できるようになる。ブロードバンドを前提としたコンテンツは、これからどんどん進化し、新しいビジネスが求められるようになるだろう」
孫氏は以上のことから、コンテンツビジネスはポータルという「玄関」ではなく、ユーザーが見たい、触れたいというニュータイプのコンテンツ、いわば「目的地」のパワーが強くなると指摘した。楽しい、ワクワク、といった気持ちを起こさせるところからブロードバンド時代の新ビジネスは発展していく。これはオンラインゲームの特性と合致している。「オンラインゲームは新ビジネスにおいてダントツNo.1になるポテンシャルを秘めている」と孫氏は語った。つまり、ビジネスモデルでパラダイムシフトを起こし、高収益を上げられるというのだ。
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