米政府は、ブロードバンドサービスプロバイダおよびインターネット電話サービスプロバイダ各社に対し、各社のネットワーク上のユーザーに対する警察当局の監視を容易にする体制の整備を義務付けているが、その最終期限までの秒読みがいよいよ米国時間14日に開始される。
米連邦通信委員会(FCC)は今年9月、全てのブロードバンドインターネットサービスプロバイダ(ISP)と多くのVoIP事業者に対し、18カ月以内(2007年春まで)に、各企業の通信ネットワークにバックドアを設け、警察が捜査目的で各企業の顧客の通信を傍受できるようにする体制の整備を義務付ける最終的な命令書を発表した。
全59ページに渡るこの命令書をFCCが発表した背景には、FBI、司法省、麻薬取締局からの長年の圧力があった。この命令書により、11年前に制定された通信傍受法、「捜査当局による通信傍受の援助法(Communications Assistance for Law Enforcement Act:CALEA)」の適用範囲が拡大されることになる。CALEAは現在、「通信事業者」にのみ適用されている。
FCCはCALEAの適用範囲の拡大を正当化する根拠として、テロや国土安全保障上の懸念を挙げ、先にVoIPサービスが犯罪者に利用される危険などについて懸念を表明したBush政権の関係者に同調した。
しかし、同命令書が発効されるにも関わらず、広範な種類が存在するプロバイダのうち、新規則の遵守が義務付けられるのはどの種類のプロバイダか、あるいは、具体的に何をすれば規則を遵守したことになるのかが依然として不明確だ。
FCCは、最初の命令書の中で、大学、研究機関、小規模または地方のブロードバンドプロバイダを同規則の適用対象とすべきか否かについては「結論に至っていない」としていた。FCCはその後に出した通知の中で、この問題に関する意見を求めた。偶然にも、初期段階の提案の受け付けは14日に締め切られる。
命令書のあいまいな内容は、FCCに建設的な提案をしたいと考える一部の企業/組織を困惑させた。テキサス西部を拠点とする小規模ブロードバンドサービスプロバイダのC&W Enterprisesは先週、FCCに次のような意見を寄せた。「CALEAの下で、われわれに義務付けられる具体的な内容が分からなければ、われわれの会社の場合はどの程度のコストがかかるのか、あるいは、どのような種類の免責を主張すべきかを見極めるのは難しい」
また、FCCは、VoIPサービス事業者に対する通信傍受に関する要求事項の範囲を拡大すべきか否かについても意見を求めた。最初の命令書では、VonageやSkypeOutなど、通話に公衆電話網を利用している「相互接続された」VoIPサービスプロバイダにのみ警察による通信傍受を容易にするための措置を義務付け、それ以外のPtoPサービス事業者などは規則の適用対象から除外していた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」