Windows Liveは、MSNの単なる焼き直しに過ぎないのか。
Microsoftは米国時間1日に、「Windows Live」というウェブベースの新しいツールを発表したが、この際に披露された8つのサービスは、大半がMSNブランドのもとですでに公開済みかまたは試験提供されている製品を作り替えたものだった。
「Windows Liveで提供予定のサービスは、その多くがすでにMSNで開発されていたものだ」と調査会社Directions on Microsoftのアナリスト、Matt Rosoffは指摘している。
同サービスのメインページにあたる「Live.com」サイトは、今年に入って試験運用が始まった「Start.com」に類似している。また、Windows Live Mailは、同社のウェブメールサービス「Hotmail」で長年計画されていたアップデート版にあたり、同サービスのユーザーがデスクトップ用メールソフトにより近い使い方ができる設計になっている。さらに、ブログサービスの「MSN Spaces」やセキュリティサービスの「OneCare」といった、Microsoftの既存の製品もWindows Liveのサービスに含まれている。
Windows Liveは、その名称から、Microsoftの「Windows」オペレーティングシステム(OS)のオンライン版であるかの印象を与えるが、実際はそうではない。しかし同社は、これは単なる名前の変更ではないと主張している。
事実、Microsoftがデモを行なった技術のなかには、すでにMSNで提供されていた技術だけでなく、同社のライバルであるGoogleやYahooが、サービスをパーソナライズ化する取り組みの中で提供している各種の機能を超えるものも含まれていた。
なかでも最も注目すべき例は、Windows Liveとデスクトップとを結び付ける方法だ。Microsoftは、同サービスのユーザーが、インスタントメッセージ(IM)に登録した仲間とファイルフォルダを共有する方法や、Live.comページを使って、ウェブのコンテンツだけでなく、最近開いた文書や企業向けポータル「SharePoint」などを閲覧する方法を実演して見せた。
調査会社Forrester Researchのアナリスト、Charlene Liによると、Microsoftが概要を説明したいくつかの機能は、YahooやGoogleのサービスで提供されているパーソナライズ機能よりも先を行っているという。しかし一方で、同氏はMicrosoftに対し、Live.comサイトの複雑さについて苦言を呈している。
「私の母が(Live.comを)使いこなせるとは思えない」とLiは述べた上で、Windows Liveを使用したい人は、ほとんどゼロの状態のページから自分でページを構築していかなくてはならない、と指摘した。
さらに、「ガジェット」と呼ばれる小さなアプリケーションの追加も容易な作業ではない。現時点でそれを行なうには、まず「microsoftgadgets.com」のサイトを訪れ、特別なURLをコピーし、その後Live.comサイトに戻って「Advanced Options」の一連の指示に従わなくてはならない。
microsoftgadgets.comのサイト上には、「ご不便をかけて申し訳ありません」とあり、さらに「よりシームレスなエクスペリエンスを早急に提供します」と書かれている。
ガジェットはMicrosoftにとって重要だ。というのも、同社は、まもなく発売されるWindows OSのアップデート版「Windows Vista」と、Windows Liveの両方でガジェットを使用する計画だからだ。
またMicrosoftは、最近開いた文書など、ローカルPC上に保存されている情報をガジェットを使ってLive.comのウェブページに追加できるようにする計画だ。
そして最終的には、目的のアプリを、Live.comかVistaのサイドバー上にドラッグ・アンド・ドロップするのと同じくらい簡単にガジェットを使えるようにしたいと、Microsoftは考えている。
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