フライトシステムコンサルティングは11月8日、画像圧縮技術JPEG2000を利用したデジタルシネマ上映システム「Hommage(オマージュ)」を2006年1月から発売すると発表した。
デジタルシネマは、フィルムに比べて画質が劣化しないことや、配給元から映画館へ衛星や光ファイバーを使って低コストで配信できることから注目されているが、この半面でまだまだフィルムの映像品質には追いついていないとの意見もある。
Hommage(製品名はHommage Digital Cinema Broadcaster DCD-JP2000)は、JPEG2000で圧縮されたコンテンツを、映画館での大スクリーン投影に耐える高画質で再生するためのJPEG2000デコーダと、コンテンツを管理するリムーバブルストレージを組み合わせたシステムだ。300GB(3時間の長編を2本収録可能)のリムーバブルハードディスクを1台搭載し、最大で2台搭載できる。また、7.1chオーディオにも対応している。
JPEG2000は、次世代のデジタル映像圧縮技術として着目され、ハリウッドの映画スタジオメンバーで構成される「デジタルシネマイニシアティブ(DCI)」が、デジタルシネマ用の圧縮規格として2005年7月に正式採用している。マスター映像として高品位な解像度で圧縮しておけば、利用する際にその用途に応じて解像度を自由に変えることができる。また、1コマずつを独立した画像として保存できるため、防犯映像の証拠化としての利用も期待されている規格だ。
フライトシステムコンサルティングの代表取締役社長である片山圭一朗氏は「デジタルシネマはフィルム映写並みの映像になってきたが、高額な投資費用が普及の足かせになっている。Hommageによって価格を破壊し、新しい映像文化を創っていきたい」と意気込んだ。
DLPに対応した松下電器産業の低価格プロジェクター「TH-DW7000-K」 |
同社の調べでは、2005年7月現在日本では全国約2800カ所のうち約50カ所(全体の1.8%)でデジタルシネマシアターが稼動しているが、その上映システムはすべて1社の米国製品を使っており、専用のシネマプロジェクタと合わせて1つの映画館の投資額は2000〜3000万円にものぼるという。この半面、Hommageは単体で200万円前後、松下電器産業のデジタルシネマ向けプロジェクタと合わせて500万円前後の投資で導入できる。
片山氏は「2800カ所の内およそ200カ所ぐらいの映画館はハリウッド系と呼ばれる資金力がある映画館だが、残りの大多数の映画館は投資余力がなく、とても既存の高額なシステムを導入できない」と述べた。また、「映画館だけではなく、博物館や水族館、公共施設など人が集まる場所でのミニシアターも普及すると考えている」と、ターゲットが映画館だけに限らないとした。
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