Googleを相手取った訴訟を抱えるMicrosoftは米国時間25日、YahooやInternet Archiveが進める書籍デジタル化プロジェクトに参加すると発表した。Microsoftが参加するプロジェクトは、Googleが推進する同様のプロジェクトと競合するが、Googleのプロジェクトよりも問題視されることが少ない。
「著作権の問題が声高に叫ばれているときなので、(このような発表をするには)決して適切なタイミングではないのだが」と、MicorosoftのMSN部門で検索コンテンツの取得を担当するゼネラルマネージャのDanielle Tiedtは述べた。
Googleは、ハーバード大学、スタンフォード大学、オックスフォード大学、ミシガン大学、ニューヨーク公立図書館の蔵書のすべて、またはその一部を、読み込んでデジタル化する行為が著作権法に違反するとして、2つの団体から訴えられている。9月には作家の非営利団体である米作家協会から、そして先週には米国出版社協会から同社は提訴されているのだ。
Googleは、著作権で保護された書籍については著作権者の承諾がない限り、内容をごく一部しか公開しないと主張している。しかし、訴訟の原告側は、書籍全体をスキャンすることによってコピーを作成する行為自体が、著作権法違反だと主張している。
このような問題を回避するため、YahooやInternet Archiveを中心に新たに結成されたOpen Content Alliance(OCA)と呼ばれるグループが行うプロジェクトでは、著作権保有者が(書籍のデジタル化を)明確に許可した場合を除き、著作権で保護されていない文章のみをスキャン/デジタル化する。またOCAのプロジェクトでは、デジタル化された書籍のインデックスを作成し、全ての検索エンジンで検索可能にする。一方のGoogleのプロジェクトでは、自社の検索エンジンが、同プロジェクトのデジタルコンテンツを検索する唯一の方法になる予定だ。
「本来的な原則を考えても、哲学的な視点から考えても、知的所有権は特定の企業が所有するべきものではない」(Tiedt)
Microsoftは、1年目には15万冊におよぶ書籍のデジタル化にかかる費用約500万ドルを負担するという。Tiedtによると、これは300ページにつき平均10セントかかる計算だという。またYahooは、1万8000冊分の書籍について、デジタル化にかかる費用を負担すると、Tiedtは述べる。
OCAのプロジェクトでデジタル化された書籍/文書はInternet Archiveが引き受ける。Internet Archiveは、デジタル形式で保存されている歴史的書物を誰でも閲覧できるようにする目的で設立された非営利団体だ。
MicrosoftのMSNウェブサイトでは2006年よりMSN Book Searchサービスを提供開始する予定で、そこではページ単位の課金や、月額ベースの契約体系のほか、電子ブックや広告の販売など、さまざまなビジネスモデルが試されると、Tiedtはいう。同氏によれば、対象となる書籍が著作権によって保護されているか否かで、適用されるビジネスモデルも異なるという。
MSNは、単純な書籍検索以上のサービスを提供する意向だ。例えば、同社では、ユーザーが作品の解説をしたり、ディスカッショングループを立ち上げたり、テキストを生産性アプリケーションに書き出したりするのを支援するサービスを提供する計画だ。
Tiedtによれば、MicrosoftとYahooは、互いにデジタル化された書籍を共有しない可能性もあるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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