インターネットにおける影響力を強化したい国連を牽制する決議案が、米上院に提出された。この決議案が可決されれば、Bush政権にとっては政治的後押しとなる。
この拘束力のない決議案を上院に提出したNorm Coleman上院議員(共和党、ミネソタ州選出)によると、同決議案は、来月チュニジアで開催されるサミットで議論される予定の国連によるインターネットの乗っ取りを阻止するためのものだという。
Colemanは米国時間17日、「インターネットが(サミットで)重大な脅威にさらされる可能性が高い」と述べ、さらに次のように続けた。「われわれが適切な対応策を講じなければ、この驚異的な情報ツールであるインターネットによって育まれてきた自由と企業を危険にさらし、挙句の果てに、われわれ全てが依存している情報へのアクセス、プライバシー、知的財産の保護を犠牲にすることになる」
仮にColemanの決議案が上院で可決されれば、世界情報社会サミット(WSIS)で議論が行なわれている間、米連邦議会において、この決議がBush政権とInternet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)への政治的後押しとなることは間違いない。米下院はすでに、民主党、共和党双方の主席議員からColemanの決議案と同様の支持を取り付けている。
この国際的な政治的論争の核心にあるのは、インターネット誕生以来の遺産であるインターネットアドレスやトップレベルドメイン名のマスターデータベースに対して米連邦政府が持つ唯一無二の影響力だ。例えば、Bush政権は最近、ポルノ製作者向けの赤線地帯として「.xxx」ドメインを設置する案に対し異議を唱えたが、これは他国の政府は行使できない米国政府にのみ与えられた拒否権の一例だ。
国連がこれまでに開催した一連の会合では、数十カ国の閣僚が異議を唱え、米国以外の国々の影響力も強化するよう求めた。これまでに出された提案としては、「消費者保護」のための新たな指令、「ユニバーサルアクセス」の実現に向けた費用を捻出するためにドメイン名に対し課税する権利、国連の一機関である国際電気通信連合(International Telecommunications Union:ITU)へのICANNの併合などが挙げられる。国連の各機関は1999年以来、電子メールへの課税を検討してきた。
Colemanの決議案は、Bush政権が6月に発表した(事実上、現状維持の)原則を支持している。しかし、Colemanはさらに一歩踏み込んで、仮にインターネットに対する支配権が圧政的国家の役人に渡れば、インターネットは「検閲と政治的弾圧の道具」にされてしまうと警告した。企業グループも同様の異議を唱えると共に、中国、イラン、シリアといった国々による検閲について警告した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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