Yahooを中心に新たに結成されたグループが、図書館の蔵書をデジタル化する計画に着手する。この計画は、論議を呼んでいるGoogleの書籍デジタル化計画に対抗するものだ。
Yahooは、オンライン図書館の米Internet Archiveやカリフォルニア大学(UC)などと連携して、全世界の図書館の蔵書をデジタル化し、それらをウェブ上の全ての検索エンジンで検索可能にし、さらに無料でダウンロード可能にする計画を開始する。Yahooを中心とする同グループは、米国時間3日に同計画の発表を行なう予定。
Internet Archiveの創設者であるBrewster Kahleは、「この計画がうまく行き、十分な人数の人々が参加を希望すれば、Yahooやその他の検索エンジンで検索でき、しかもiPodなどのハンドヘルド端末上で書籍のダウンロードもできる、共同利用可能な貸し出し図書館の創設が可能になる」と語る。
Yahooを中心に新たに結成されたOpen Content Alliance(OCA)と呼ばれるグループが行なうこのプロジェクトは、著作権問題の発生を回避するための様々な配慮がなされている。同じく書籍のデジタル化を進めるGoogleは昨年、同社の書籍デジタル化計画Print Library Projectを開始して以来、著作権問題に悩まされてきた。
米作家協会(Authors Guild)は先週、著作権で保護された書籍をスキャンし、デジタル化しているGoogleの行為は、たとえGoogleの計画通り、同社の検索結果にはそれらの書籍から抜粋された一部分しか表示されないとしても著作権侵害に当たるとして、同社を提訴した。これに対しGoogleは、同社のプロジェクトは、米国著作権法に基づく公正使用の理論を遵守していると反論している。同理論の下では、書評などに本文の抜粋を掲載することは許される。
Googleとは異なり、Yahooは、著作権保有者が(書籍のデジタル化を)明確に許可した場合を除き、著作権が消滅した書籍のみをスキャン/デジタル化する。またOCAのプロジェクトでは、デジタル化された書籍のインデックスは全ての検索エンジンで検索可能にする。Googleは、著作権で保護された書籍の抜粋への一般からのアクセスを制限しているため、同社は、同プログラム内でデジタル化された全ての書籍の検索に対する制御権を保持している。
OCAのプロジェクトでデジタル化された書籍/文書はInternet Archiveが引き受ける。Internet Archiveは、デジタル形式で保存されている歴史的書物を誰でも閲覧できるようにする目的で設立された非営利団体だ。また、Hewlett-Packard(HP) Labsが書籍をスキャンするための技術を提供し、Adobe Systemsが同社製ソフトウェアのAcrobatとPhotoshopの2本のライセンスを供与する。
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